アトラシアン本社の情報サイト『WORK LIFE』から新着コラム。アトラシアンの最高収益責任者(Chief Revenue Officer:CRO)、キャメロン・ディーチ(Cameron Deatsch)が「フライホイール効果(Flywheel Effect)」によってビジネスを成長させるための方法を指南する。

レッスン1: 購入プロセスをスムーズにする

顧客にとって良い製品・サービスは自ずと売れる。ゆえに、優れた製品・サービスを提供している企業にとって最も大切なことは、顧客が購入する「邪魔をしないこと」である。ここで言う「邪魔をしない」というのは、顧客が製品・サービスについて能動的に学び、購入するプロセスを可能な限り最適化することを指している。

それを実現するうえでは、製品・サービスに関する情報をすべてオープンにすることが基本となる。もちろん、製品・サービスの価格・料金もすべてオンライン上に明記し、そのうえでプロセスをAmazonのeコマースサイトで購入するのと同じぐらい簡単にすることが重要となる。

レッスン 2: 価格の一貫性と競争力を保つ

顧客が製品・サービスを導入する際の「摩擦」を取り除きたいのであれば、エントリーレベルの価格は可能な限り低く設定する必要がある。

例えば、アトラシアン製品は数千人規模の組織をサポートする機能を有する一方、10人以下のチーム向けには無料で提供されている製品が多くある。製品を試すことに興味がある人なら誰でも無料で使えるというわけだ。

加えて重要なことは、製品・サービスの販促目的で無暗に期間限定の割引を行わないことである。なぜ、そうすべきかの理由は2つある。

理由の1つは、期間限定の特別価格販売(いわゆる、特売)は、定価で製品・サービスを購入しようとする人の意欲を減退させるからである。アパレル業界では、不良在庫を大量に抱え込むことを避けるために特売(セール)を毎年のように繰り返し、結果として多くの消費者がセールを待つようになり、商品が定価で売れなくなるといったジレンマがよく起きてきた。特売が内包するこうしたリスクは、アパレルに限らず、すべての製品・サービスに当てはまることなのである。

また2つ目の理由は、割引販売は収益減につながり、製品・サービスの作り手側に還元する利益の減少を招くからである

レッスン 3: 顧客との直接的な対話の発生はバグと見なす

誤解を避けるために言っておくが、私は顧客との対話やミーティングを嫌っているわけではない。むしろ、顧客との対話をいつも望んでいるタイプの人間である。

ただし現実には、特定の顧客と1対1で対話した内容は、すべての人の製品やサービスの体験を良くするために使えるものではないはずだ。したがって、顧客が製品・サービスの購入を完結する過程で1対1でのやり取りが必要になったときには、必ずその理由を追求することが大切である。要するに、製品・サービスの購入時に、その顧客にとって足りない情報は何だったのか、なぜ購入を自己完結することができなかったのかを明らかにするのである。

製品・サービスの購入に関する質問が顧客から寄せられるのは、購入プロセスに「摩擦」がある証拠である。可能な限りすべてを取り除くことが、フライホイール効果を高めるうえでは重要となる。

レッスン 4: 数多くの友人を作る(ビジネスパートナー編)

グローバルで顧客ベースを拡大しようとしているB2B企業にとって、各国における間接販売チャネルの開拓・整備・拡充は非常に重要なテーマとなる。

現地の実情を知るパートナーと協業することで、独力で各国の市場を切り拓く時間と労力を大きくセーブできる。また、パートナーは外資の企業が参入しづらいターゲット市場──例えば、現地政府や規制業界との取引も固有の専門知識を駆使して支援してくれる頼もしい存在でもある。ゆえに、アトラシアンでは早い段階から間接販売チャネルの開拓・維持・育成に積極的に投資し、今日では間接販売からの収益が全体の3分の1を占めるに至っている。

さらに、アトラシアンの場合、同業他社と提携して製品間での深い連携も実現している。例えば、コラボレーションツールである「Confluence」やプロジェクト管理ツールの「Jira Software」と、コミュニケーションツールのSlackやTeamsを連携することで、シームレスなチームワークが実現される。こうした製品連携のパートナーシップは、双方の製品の魅力を増し、それぞれの市場拡大に有効に機能している。

レッスン 5: ビジネスのさらなる拡大に向けて多様な力を活用する

フライホイールに加える力の種類が多ければ多いほど、より多くの顧客を惹きつけることができる。例えば、B2Cビジネスを展開する企業であれば、スピンオフ製品やロイヤリティプログラム、インフルエンサーマーケティングなどを、フライホイールを促進力として活用している。新製品や既存製品の新バージョン、技術サービス、アドオンのエコシステムは、B2CとB2Bのいずれの企業のフライホイールの速力を増すうえでも有効だ。

とりわけ、エコシステムの構築は、それ自体がフライホイールとして機能するので非常に有益である。実際、製品にアドオンできるアプリケーションが多くなれば多くなるほど、より多くの顧客のニーズを充足できる可能性が高まる。また、購入した製品・サービスに1つでもアドオンを追加した顧客は、製品を継続して購入する(ないしは、サービスを継続する)可能性が、何も追加していない顧客に比べて圧倒的に高くなること──言い換えれば、顧客のLTV(生涯価値)が高くなることが、アトラシアンでの分析によって明らかになっている(図2)

画像: 図2:顧客によるアドオンの追加とLTVとの相関関係

図2:顧客によるアドオンの追加とLTVとの相関関係

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