アトラシアンには、働き方改革のエキスパートが多くいる。その一人が、ワーク フューチャリストのドム・プライス(Dom Price)だ。彼は企業組織のリーダーに向けて、変革のためのメッセージをコラム形式で発信し続けている。この連載では、そのエッセンスをお伝えしていく。

健康ですか?あなたのチーム

あなたに仕事上の活力を与えているのは何か──。この問いかけへの答えをリストアップしていくと、おそらくリストの上位に「チームメイト」という言葉が入るはずだ。

事実、このチームメイト──つまりは、ともに働く“同僚”たちは、経営幹部と同等、あるいはそれ以上の影響をチームや組織の文化に与える。したがって、チームの“健康状態”も、チームメイトたちの仕事や課題に対する“健全”で大人な行動によって決定づけられると言える。

実のところ、私は“チームの健康”について強いこだわりを持ち、その探求を続けている。いわば、チーム健康オタクと言ってよい。ゆえに先日、アジャイル開発の大きなコンファレンスで、チームの健康に関する6つのセッションに参加したが、とても楽しく、興奮もした。ということで今回は、その6セッションで浮かび上がってきた、健康的なチームを形成するための5つの要点についてお伝えしたい。

1. 回復力

あなたが幼かったころ、自転車の練習のときに、両親に見守られながらも、転んでは起きるという挑戦を繰り返したことを覚えているだろうか。あるいは、手痛い敗北感を味わったときに、幾度も再挑戦への心の火を灯してくれたコーチに出合った経験はないだろうか。両親やコーチがあなたに教えようとしたことは、要は、全力で幾度も難題に立ち向かうことの大切さである。

実のところ、幸せなときには全力を尽くす必要はない。ただ、成功を目指すと決めたときには、数々の障害に行く手を阻まれようとも、全力を尽くして突破を図らなければならない。何度、分厚い壁に跳ね返されようともである。ゆえに、チームには、敗北したときのたくましい回復力が強く求められる。

2. バランス

私たちは現代社会の中に生きている。今、この瞬間にも、誰かがウルトラマラソンの大会に向けてトレーニングを積み、またある人は、10日間のデトックス美容のただなかにあるかもしれない。一方で、彼らのインスタグラムのフォロワーたちは、彼らの行いに対して賞賛のシャワーを浴びせているかもしれない。

このように、人生の中でとても危険なことは、他のすべてを犠牲にして、過度に1つの側面の最適化だけを追い求めることである。重要なのは、あなたのチームとあなた自身を俯瞰的にとらえ、特定のエリアに力を注ぐことが、他を犠牲にすることにつながるというトレードオフの関係を理解しておくことである。

3. 安全

いくつかの調査結果を見ると、チームメイトたちの精神的な健康が、チームのパフォーマンスに大きな影響を与えていることがわかる。たとえば、あなたの周囲の人間は、あなたの失敗を、あなたを攻撃する武器として使っているだろうか、それとも、自分たちの学習の絶好の機会と見ているだろうか。言うまでもなく、後者の場合が、チームメイトたちの精神的な健康が保たれているサインであり、前者がその逆である。

一方で、仕事でも私生活においても、私たちはデータの収集に夢中になりすぎている。労働した時間、つぶしたバグの数、睡眠時間、消費カロリー、挙句の果てには、乳児のおむつの中身まで追跡するスマホアプリまである。現実問題として、人が許容できるデータの種類と数には限界がある。ゆえに、数多くのデータを収集したとしても、自分の許容範囲のなかで、データを眺めることが肝心である。そして、自分にとってあまり役に立たないデータは、思い切って切り捨てる。それが心の平安につながるという。

4. 自己評価

仮に、自分たちの行いが周囲に負の影響を与えたとすれば、必ずそれを自覚して、周囲に公にすることが、本当の大人の振る舞いである。とはいえ、大人に類するはずの、すべての人間が、自分の行いを正しく評価できるかと言えば、必ずしもそうではない。となれば、ツールの助けを借りるのが理にかなった方法である。幸い、市場には個人やチームの自己評価を支援するツールが多くある。これらのツールを使って、手早く、そして定期的に自身とチームの自己評価を行うことが、チームが取組むプロジェクトの本当の意味での進捗を確認するうえでも大切なようだ。

5. 目標

大人と子供の違いは、将来構想を持っているかどうかではなく、その構想の実現に向けて、自分が何を演じるべきかの計画を持っているかどうかだ。それはグループレベルでも同様に言えることである。個人としての大きな目標の下で、チームを調整していくことは、あなたの毎日を意義深いものするはずである。

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