『EXTREME TEAMS』── アップル、グーグルに続き次世代最先端企業成功の秘訣
著者   :ロバート・ブルース・ショー[著]、上原 裕美子[訳]
出版社  :すばる舎
出版年月日:2017/11/25

画像: 【BOOKレビュー】チームの強化に役立ちそうな本──勝手にレビュー

"突き抜けたチーム"の作り方を示す

『EXTREME TEAMS(エクストリーム・チームズ)』という書名からも推察できるように、この本は、"突き抜けたチーム"、あるいは"尋常ではないパフォーマンスを発揮するチーム"(つまりは、「エクストリーム・チーム」)をどう形成するかの参考書だ。「エクストリーム・チーム」形成で成果を上げている企業が、どのようにしてチームを形成し、機能させているかが記されている。

著者のロバート・ブルース・ショー氏は、経営コンサルタントで、企業組織のリーダーとチームの能力を最大限に発揮させるためのコンサルティングを専門にするという。

企業の事例取材・研究・分析から、成功の法則を導き出し、わかりやすく説明する能力の高さは、優れた経営コンサルタントの資質の一つと言えるが、本書の内容からは、ショー氏もその資質を十分に有していることが伺える。例えば、ショー氏は本の中で、エクストリーム・チームの形成で成果を上げている企業の取り組みを細かくとらえながら、エクストリーム・チームに共通する特性を割り出し、一般的なチームとの違いを分かりやすく提示している。また、成功企業と類似の取り組みを実践したものの、エクストリーム・チームの形成に失敗した企業の例も併せて示し、成否を分けるポイントについても具体的に説いている。多くの取材と経験に裏打ちされているであろう、同氏の話には説得力があり、チーム形成の参考になる示唆が随所に散りばめられているとの印象を受ける。

分析対象の顔ぶれも多彩

そんな著者が、「エクストリーム・チーム」を持つ先鋭的企業として主に取り上げているのは、ホールフーズ(自然食品を専門に使う食料品店)、ピクサー(映画スタジオ)、ザッポス(ネット専業のアパレル小売)、エアビーアンドビー(シェアリングエコノミーモデルを採用した宿泊紹介サービスプロバイダー)、パタゴニア(アウトドアアパレルの製造小売)、ネットフリックス(映画/TVコンテンツのストリーミング配信事業者)、アリババ(Eコマース事業者)の7社だ。

どの企業も市場での成功者だが、業態も違えば、社齢もさまざまである。例えば、パタゴニアは、約35年の歴史を持つが、エアビーアンドビーは、創設から数年足らずで奇跡的な成長を遂げた、いわゆる"ユニコーン"に類する企業で社齢は10才ほどだ。このように社齢や業態が異なり、それぞれが独自の文化を持つ7社が、どのようなアプローチでエクストリーム・チームを形成し、今日に至っているかのストーリーは、アマゾンやグーグルのサクセスストーリーだけを聞かされるより有意義で、広範な読者が記述を身近に感じるはずである。また本書の記述からは、チームパフォーマンスの維持・向上に力を注ぐことで、多少歴史の古い企業でも、革新性やサステナビリティが高く保てることも伝わってくる。

ヒヤリとするがやらねばならないときがある?

もちろん、本書の内容は、あくまでも"参考"書であって、書かれていることをそのまま取り込んだとしても成功の保証はない(その辺りは、筆者もくどいほどに断りを入れている)。また、本書には、日本企業がすぐに取り入れ、相応の成果が得られそうな手法が記されている一方で、日本の企業人にとって、にわかには受け入れがたいであろうアプローチも散見される。

例えば、エクストリーム・チームを形成・維持する方法論の一つとして、可能な限りの自由裁量権をチームに与えるとの記述がある。この手法は、ビジネスの最前線で働き、日々、顧客と対峙している現場の力を活かすための方法論でもあり、日本企業の中にも、この手法を取り入れ、成果を上げているところがある。また、エクストリーム・チームは「能力」ではなく「適性」によって人の採用・評価を決めているとの記述もあるが、これも、日本企業がすぐに取り入れ、効果が得られる手法であろう。

一方で、エクストリーム・チームの形成・維持には、チームに貢献できない人を容赦なく切り捨てる厳しさも必要と記されている。また、その厳しさを確保するうえでは、チームの結束を強めるための"チーム内の家族的なつながり方"にも、ビジネスと心情的なつながり、あるいは友情は別モノと見る冷静さや戦略性が必要なようで、その辺りの説明も少しヒヤリとさせられる。

ご存知のとおり、プロスポーツの世界では、チームの目標達成に貢献できない人材、または貢献できなくなった人材は切り捨て、足りない才能を外部から調達しようとするのが通常だ。そこに海外と日本の違いはない。ただし、一般の企業──とりわけ、歴史の古い日本企業が、それほど割り切ったチーム形成・運営へと舵が切れるかと言えば、そうとばかりは言い切れず、そのためには文化・慣習・制度、そして心情的にいくつものハードルを乗り越える必要があるように思える。

さらに、チームに貢献できない人材は切り捨て、新たな才能を獲得するというプロセスを淀みなく回すには、その企業に多くの人材を引き付ける絶対的な魅力がなければならない。そのような魅力を保つこと自体が、そう簡単なことではく、経営サイドにかなりの努力、自信、経営センス、市場の先を見通す能力が必要なように思える(実際、この本の中にも、そうした言及がある)。加えて、今日の日本は、少子高齢化で人口減に苦しめられ、働き手の絶対数が不足している。その国で、多くの優秀な人材を呼び込める魅力を保ち続けるのは、ことさら難しいはずである。

とはいえ、かつては世界最高レベルと考えられていた日本企業のチームパフォーマンスやチームワーク、そして現場力にも陰りが見え始め、これまでには考えられなかったような事態も起きている。そんな現状や、チーム、あるいは組織全体の閉塞感・行き詰まり感を打破/打開するには、どこかでこれまでのやり方・文化・慣習をガラリと変容さなければならないはずである。そうした変革の方向性を見定めるうえで、この書籍が一助になることは間違いなそうだ。


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