アトラシアン本社の情報サイト『WORK LIFE』より。ライターのカット・ブーガード(Kat Boogaard)が、チームワークのレベルアップに有効な7つのスキルを紹介する。

スキル4: 意思決定

Once you make a decision, the universe conspires to make it happen.
(あなたが決断すれば、宇宙はその実現に向けて動き始める)
── ラルフ・ワルド・エマーソン

迅速な決断が必要なときほど、チームで物事を決める面倒さにイライラを感じるものである。もちろん、チームでは、メンバー各人の多様な視点や考え方をマネージしなければならず、合意を形成するまでに一定の時間を要するのが通常である。だからこそ、意思決定はチームワークの重要なスキルの一つとなる。

しかも今日では、チームを取り巻くビジネス環境の変化が激しく、かつ、その変化が誰も経験したことのないようなものであることが多くなっている。ゆえに、過去の成功体験にもとづいてチームマネージャーが最終的な判断を下すという旧来型(ないしは、トップダウン型)の意思決定プロセスが通用しなくなっている。ゆえに、チームの全員が意思決定に等しくかかわり、最終判断の合意を形成する協調的な意思決定プロセスが主流を成しつつあるわけだ。仮に、そうした意思決定の文化を取り入れている場合、チームには意思決定のスキルが必須となる。そのスキルとは、すなわちチームの全員が他者の意見、提案にオープンマインドで耳を傾け、最善の方法を合理的に選り抜くために一致協力するスキルである。

最終判断を合理的、かつスピーディに下すテクニック

  • 意思決定のプロセスを遂行する中で、チーム全員の合意が得られないことがある。そのようなときに曖昧となるのが「当該の仕事に関して最終的な意思決定権を持つのは誰なのか」「仕事に貢献はしているが、最終的な意思決定権者ではないのは誰なのか」といった点である。
    そうした役割の曖昧さは「DACI意思決定フレームワーク」を使うことで解消できる。このフレームワークは、個々のプロジェクト、ないしは仕事について「Driver(推進者)」「Approver(承認者)」「Contributor (貢献者)」「Informed (報告先)」を明確にするためのフレームワークである。このフレームワークによって、意思決定における各メンバーの役割が明確にでき、チームとしての意思決定をより効率的に下せるようになる。
  • あなたは、チームにおける意思決定の遅さに悩んでいないだろうか。もし悩んでいるならば、チームの意思決定に期限を設けてみていかがだろうか。心理学者によれば、締め切りは人にストレスを与える一方で、集中力を高める効果もあるという(参考文書 (英語))。

スキル5: 問題解決

If I had an hour to solve a problem I’d spend 55 minutes thinking about the problem and five minutes thinking about solutions.
(もし、問題の解決に1時間与えられたら、55分を問題について考える時間として使い、残りの5分で解決策を考えようとするだろう)
── アルバート・アインシュタイン

チームにおいては、担当するプロジェクトが軌道から外れてしまったり、メンバー間の対立が発生したりといった問題が起こることがある。そのようなときに必須となるのが、問題解決のスキルだ。

問題を解決するうえで必須となるのは、応急処置を施したり、即効性のある解決策を見出したりする能力ではない。より大切なのは問題を深く掘り下げて、その根本原因を把握するスキルであり、能力となる。

問題に適切に対応するためのテクニック

  • チームで何らかの問題が発生した際には、解決の一手を即座に講じようとせず、「問題のフレーミング」と呼ばれる手法を使いながら、問題に関する「誰が(Who)」「何を(What)」「なぜ(Why)」「どこで(Where)」を把握することが重要となる。
  • 問題原因を突き止めるための手法には「なぜなぜ分析」と呼ばれるものもある。これは「なぜ、そうなったのか」を5回連続で問うというものだ。この手法を使って問題の根本原因を掘り下げていくことで、チームが思い込みや表面化した事象だけにもとづいて行動する間違いを回避できるようになる。
  • 特定の問題に関して、最初に考えついた解決策が常にベストであるとは限らない。また、だからこそ、チームで問題の解決にあたる意味があるとも言える。すなわち、チームだからこそ、さまざまなアイデアや経験、視点にもとづきながら、問題解決に継続して取り組めるのである。
    また、チーム内のメンバー同士でお互いの仕事に対する意見を戦わせる「スパーリング」を行うのも、問題解決のスキルを高めることにつながる。このスパーリングを行うことで、チームの全員が自分の仕事に対する率直なフィードバックを得て、自身の改善すべきポイントに気づくことができる。

スキル6: エモーショナルインテリジェンス(感情的知性)

Emotions can get in the way or get you on the way.
(感情は邪魔になることもあれば、進むべき道を示してくれることもある)
── メイヴィス・マズーラ

エモーショナルインテリジェンス(感情的知性)とは、自分や他人の感情の状態を読み取り、それに従って行動する能力を指している。その知性の高さは「EQ(Emotional Quotient)」で表現される。

エモーショナルインテリジェンス、あるいはEQは、典型的なチームワークのスキルではない。ただし、チームワークを強化するうえでは欠かせない要素と言える。

チームの中には、他者の感情を読み取る天性の能力を備えた人がいるかもしれないが、チームの全員がそのような能力を備えている可能性は低い。にもかかわらず、私たちの仕事には感情がつきものである。そして、感情は私たちの知覚を偏らせ、対人関係に負の影響を与えたりする(参考文書 (英語))。実際、ある調査によれば、エモーショナルインテリジェンスは、チームワークの有効性やチーム内で巻き起こる対立の度合いに大きな影響を与えるという(参考文書 (英語))。

エモーショナルインテリジェンスを高めるテクニック

  • 仮にあなたがチームのマネージャーであり、メンバーのエモーショナルインテリジェンスを高めたいと望むであれば、まず成すべきなのは自分で行動の手本を示すことである。
    例えば、チーム内の誰かに対する顧客からの批判に大きく反応するのを抑えたり、同僚からのフィードバックを受け取る当事者に対し、そのフィードバックを冷静に受け止めて消化できる精神状態にあるかどうかを尋ねたりする。そうした行動──すなわち、エモーショナルインテリジェンスを利かせた行動をチームに示すことで、チーム全員がその大切さに気づいて見習うようになるのである。
  • 人は常に自分の感情をコントロールできるわけではない。ただし、自分の感情的な反応や行動を抑制したり、改善したりすることはできる。
    また、感情は「人格」と混同されやすい。したがって「私は……である。」という表現を「私は……であると感じている」といった表現に切り替えて、人格と感情との境界線をはっきりさせることも大切である。例えば「私は、この締め切りを君が守れるかどうかが不安だ」と言うのではなく「私には、この締め切りが君に守れるかどうかが不安に感じられる」と言うようにする。これは小さな変化に思えるかもしれないが、他者へのメッセージの伝わり方には大きな違いがあるのである。

スキル7: 成長型マインドセット

Success is the ability to go from one failure to another with no loss of enthusiasm.
(成功とは、熱意を失うことなく1つの失敗から次の失敗へと突き進む能力のことだ)
── ウィンストン・チャーチル

成長型マインドセットは、チームがさまざまな障害を乗り越え、創造的な解決策を見い出し、成功をつかむための必須の要素である。

成長型マインドセットは、「問題」、ないしは「失敗」を「成長のチャンス」ととらえる能力であり、スキルと言える。また、成長型マインドセットは、チームが過去の経験を生かしながら、より良いコラボレーションを行っていくための動力にもなる。

成長型マインドセットを育むテクニック

  • チームのメンバーが率直に、かつ前向きに意見を交換できるよう、仕事の節目やプロジェクトのマイルストーンの終了時に「ふりかえり」のミーティングを必ず実施するようにする。このミーティングにおいて、例えば「何がうまくいき」「何がうまくいかなかったのか」「失敗/成功の要因は何だったのか」「振り返りの結果を、今後どのように生かしていくか」を話し合うことで、さまざまな課題を乗り越えようとする成長型マインドセットが育まれていく。
  • チームメンバー全員に対して、定期的に、かつ頻繁に建設的なフィードバックを交わすことを奨励するのも成長型マインドセットを育む一助となる。こうしたメンバー間の率直な意見交換は、メンバー各人が「どうすれば自分自身を改善できるのか」を理解し、改善策を考え、遂行するのに役立ち、結果として、チーム全体の改善にもつながっていくのである。

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