本稿の要約を10秒で
- チームミーティングのアジェンダは、重要なトピックを優先順位し、物事をスムーズかつ効率的に進め、チームがやる気と結束力を感じてミーティングを終えられるようにするためのものである。
- すべてのアジェンダを同じように作成する必要はなく、ミーティングのゴールに従って適切なアジェンダを作成する
- 手始めにテンプレートから始め、ニーズに合わせてカスタマイズするのが良い。
ミーティングが仕事に与えるプラスの効果
あなたが、少し長めのタスクに取り組む準備できており、10分後に控えているチームミーティング以外は、あなたの仕事の邪魔をするものが何も存在しないとする。そして、そのミーティングから、貴重なインスピレーションを得ることができ、かつ、タスクに取り組むモチベーションが一層アップし、エネルギーが満タンな状態で中断したタスクを再開することができたとすれば、どうだろうか。
そう、ミーティングとは本来、このように生産的で効果的であるべきである。ところが、実際のミーティングはその逆であることが多い。理由はシンプルで、ミーティングを生産的で効果的にするのは、相応のテクニックが要求される、難度の高い仕事だからである。
この難度の高い仕事を成功させるためのカギの一つが、アジェンダづくりである。巧みに設計されたアジェンダは、ミーティングの効果的な運営に大いに役立ち、会議のタイムマネジメントを適正化したり、参加者から良質な意見を引き出したり、話し合いを建設的で生産的なものにすることができる。
また、アジェンダには、例えば「四半期の予算を策定する」「プロジェクトのタイムラインを設定する」といったミーティングの目標を明確にし、時間内にその目標を達成できるようにする力も持つ。さらに、ミーティングで話し合う内容に優先順位をつけるうえでも役立つほか、チームのメンバー全員に、直近の一週間で優先して取り組むべき課題を伝えることもできるのである。
以下、そうした有効なアジェンダを作成するためのテクニックを紹介する。
効果的なアジェンダの要件
チームミーティングのアジェンダとは、話し合う予定のトピックやアクションアイテムを整理し、スケジュール化したリストを指す。そのリストによって話し合うトピックに優先順位をつけ、ミーティングの進行役が、スムーズに、かつ効率的にミーティングを進められるようにし、かつ、仕事に対するチームのモチベーションと結束力を引き上げられるようにすることが、アジェンダづくりの目標となる。
ゆえに、ミーティングで話し合うトピックをリスト化し、それぞれのトピックの横にタイムスタンプを付記するだけでは不十分だ。効果的なアジェンダを作成するには、相応の思考と創意工夫、そして努力が必要とされるのである。
チームミーティングのための効果的なアジェンダは、十分に練り上げられ、明確で、かつ簡潔なつくりになっている。
そうした効果的なアジェンダをつくるうえでは、チームの立場に立って思考を巡らせることが大切だ。例えば、チームメンバー全員にとって既知の事柄は何なのか、また、チームミーティングの目的(問題解決、アイデア出し、意思決定)などを常に念頭に置きながら、どうすればメンバーにとってより興味深く、印象深いミーティングにできるかを検討することが重要である。
また、アジェンダをざっと一読するだけで、チームのメンバー全員がミーティングの目的と自分の役割、そしてミーティングに向けてどのような準備をしておくべきかを理解できることが望ましい。
アジェンダづくりの5つの鉄則
上述した内容を踏まえつつ、以下では効果的なアジェンダづくりに向けた5つの鉄則を紹介する。
鉄則①各ミーティングに合わせてアジェンダを作成する
ミーティングの目的や形態はミーティングごとに異なる。ゆえに、アジェンダのフォーマットも、ミーティングの目的や形態に沿ったものでなければならない。例えば、プロジェクトに関する定期的なミーティングのアジェンダには、達成事項や誰かへの謝辞のスペースがあると良いが、ワークショップミーティングのアジェンダにはそのようなスペースは必要ではない。このようにミーティングにはさまざまな種類があるので、各ミーティングの特性やチームの文化に適した方法でアジェンダをフォーマットすることが不可欠となる。
鉄則②アジェンダのトピックに優先順位をつける
アジェンダは、ミーティング運営の核となるものだ。そもそもミーティングを開くのは、アジェンダに設定したトピックを議論することに意義があると判断したからであり、その意味でも、優先順位の高いものから低いものへと順番に話し合いが行われるよう、アジェンダを設計することが重要となる。もし時間が足りなくなったら、優先順位の低いトピックは次回に延期することもできる。
鉄則③ミーティングの進行をスムーズにするアイスブレイクや、ちょっとしたチームビルディングのアクティビティを取り入れる
「アイスブレイク」は、ミーティングをカジュアルな雰囲気にし、ミーティングに参加した人全員に意見を出させやすくする効果がある。ただし、アイスブレイクを組み込む際には、チームの規模や会議の長さを考慮に入れるべきである。20人が参加するような規模の大きなミーティングに、全員参加型のアイスブレイクを組み込んでしまうと、アイスブレイクがミーティングを占拠してしまうような事態に陥りかねないのである。
鉄則④質疑・討論のための時間を十分に確保する
ミーティングは基本的に「意見交換」や「議論」の場であって、誰か一人が一方的に意見を述べたり、プレゼンテーションを行ったりする場ではない。ゆえに、誰かがプレゼンテーションを行うにしても、それに対する質疑応答の時間や議論の時間を十分に確保することが必須となる。また、時間を確保するだけではなく、ミーティングに出席した全員に議論への参加を促すようにすることも大切だ。例えば、出席者に「何か質問や意見はありますか?」と尋ねるのではなく、「いまの話を聞いて、どう感じましたか?」と尋ねて、必ず自分の疑問や意見を述べさせるようにすると良いだろう。実のところ、ミーティングの場で自分の意見を述べたり、疑問を投じたりするよりも「自分には疑問、意見はありません」と首を横に振るほうが、はるかに楽で簡単だ。ゆえに一定の強制力を働かせることが大切であり、そうすることで、健全な議論や知的スパーリングを引き起こすことが可能になるのである。
鉄則⑤ポジティブに終わらせる
チームミーティングの最後には、ミーティングに出席し、議論に参加したメンバー全員に感謝の意を述べる時間を数分設けると良い。メンバーの一人一人に声をかけるのでも、全員に対してでも構わない。大切なのは、参加した全員が認識されている事実を知ってもらうことである。