TIPS 6: 仕事のスケジュールと分量を毎週見直す
コロナ禍によるリモートワークへのシフトによって、仕事とプライベートの境界線が曖昧になり、多くのビジネスパーソンの労働時間は「長時間化」の傾向を示してきた。これは、リモートワークを巡る大きな課題の一つであり、今後、改善を急がねばならないポイントと言える。
このような働き過ぎの問題を解決する一手について、Old Street Solutions社のマーケティングマネージャーであり、ブリッキー氏と同じくアトラシアンコミュニティのリーダーであるテオドラ・ヴァシレバ(Teodora Vasileva)氏は次のように説く。
「私はチームのメンバーに対し、毎週少し時間をとってプライベートライフと仕事の両面から、いまの自分にとって何が重要なのかを見直すようアドバイスしています。その結果として、自分のワークライフバランスに問題を感じたのでれば、仕事のスケジュールを少し遅らせたり、仕事の一部を同僚に任せたりして、仕事量を調節することを勧めています。実際、そうして小まめに調整を図らなければ、人は働き過ぎの現状からなかなか抜け出すことができないのです」
TIPS 7: バーチャルでもリアルでも雑談を大切にする
UVEXグループでプロジェクト&プロセスマネジメントに携わり、アトラシアンコミュニティのリーダーでもあるニーナ・シュミット(Nina Schmidt)氏は、毎週15分間のチームメンバーとの雑談を大切にしている。理由は、こうした雑談によって新しいメンバーは早期にチームに溶け込むことができ、かつ、長年のメンバー同士の強いつながりも維持することができるからである。
シュミット氏は、コロナ禍のただ中に現在の職場に転職した人であり、バーチャルな環境下で新しいチームに加わり、自分のポジションを確立することの難しさを肌身で知る一人でもある。その経験から、同氏は雑談の場を設置し、維持することの大切さを強く訴えているようだ。そして同氏は、毎週15分の雑談の場を設けることは、仮にチームの全員がオフィスで働くようになったとしても有効であり続けるとも訴えている。
TIPS 8: ソリューションを考える前に問題を正しく定義する
チームはときとして、解決策(ソリューション)の導入を目的化してしまうことがある。例えば、AI(人工知能)で解決すべき問題の定義が曖昧なまま、AI技術を導入してしまうようなことが、あらゆる業種・業態のチームでよく見受けられている。
このような事態を避けるには、自分たちが直面している問題への深く、正しい理解が不可欠となる。実際、チームの問題をさまざまな角度から検証することで、問題の中身が自分たちの考えていたものとはまったく違うことに気づく可能性もある。
「異なる視点からチームの問題を掘り下げていくことで、ほとんどの場合、より明快なソリューションを導き出すことが可能になります。その作業はチームスポーツのようなものでもあり、チームにとってとても大切な共同作業です」と、アトラシアンコミュニティのメンバーであるメリッサ・カスタン(Melissa Castán)氏は指摘している。
TIPS 9: 完全な情報は誰も持っていないことを前提にする
物事を判断するうえでは、データを収集・活用することが大切だ。ただし、過去のデータだけで完璧な戦略のシナリオが描けるわけではない。しかも、私たち人間は、無意識のうちに自分なりのストーリーを作り上げ、そのストーリーに沿ったかたちでデータや知識の欠落部分を埋めようとする特性も有している。
アトラシアンの働き方担当ブランドリードで、アトラシアンコミュニティにおけるTeamwork Labのリーダーでもあるクリスティン・デラ・ロサ(Christine Dela Rosa)は、上記のような認知・認識のワナに陥らないようするための3つの方法を提案している。それは以下のとおりだ。
- 方法1: 自分の仮説が正しいかどうかを検証する。その検証に必要なデータはすべて収集するようにし、仮説に関係する顧客やチームに対するアンケートも実施する。このとき、自分の仮説に興味のある人に話を聞くことで、仮説の正否を直感的に判断することも可能になる。
- 方法2: 自分の仮説を検証するうえでは、その仮説を情報源と共有し、仮説の根拠を知ってもらうことも有効となる。
- 方法3: 情報源との対話が過剰なコミュニケーションにならないよう心がける。と同時に、自分にとって当たり前のことが、他者にとっても当たり前のことだと思い込まないようにする。
TIPS 10: チームワークの規範を見直す
過去2年間、世界各国のビジネスパーソンが、コロナ禍対策としてリモートワークを推進し、その中でチャットやビデオ会議を使った効率的なコミュニケーションの手法を確立させてきた。また、これらのツールを使った非同期型ミーティングの慣行も多くのチームの間ですでに定着していると言える。
果たして、これらの手法や慣行は、コロナ禍が完全に終息し、チームの働き方がかつてのオフィスワーク中心型へと移行した場合にどうなるのだろうか。
この問いかけに対して、アトラシアンコミュニティのメンバーであり、Gliffy社のマーケティング担当者であるサミー・カウフマン(Samie Kaufman)氏は次のように答えている。
「仮に大多数のチームの働き方が、コロナ以前のオフィスワーク中心型に戻るとしても、それは過去2年間の取り組みや成果がなかったかのように仕事をすることにはならないはずです。チームにとって大切なのは、どこで働くかではなく、どのように働くと最も効率的であり、かつ、効果的かを見定めることです。ゆえに私は、コロナ後の世界を見据えながら、働き方の規範を、それぞれのチームに適したかちへと適宜更新していくよう周囲にアドバイスしています」