アトラシアン本社の情報サイト『WORK LIFE』から新着コラム。メインライターのサラ・ゴフ・デュポン(Sarah Goff-Dupont)が、自分のプロジェクトアイデアを社内にアピールする8つのテクニックを紹介する。

戦略7:プレゼン用のスライド資料は可能な限り作らない

ご存知のとおり、スライド資料の作成というのは、相当の手間と時間を奪う作業で、その労力はプロジェクト自体にかけるべきである。大抵の場合、自分のアイデアについて必要な情報を把握さえしていれば、スライド資料あるいはメモ書きがなくてもアイデアを売り込めるだろう。また、プロジェクトの範囲によっては、上司との定期的な1on1ミーティングの場で、自分のアイデアを披露するだけで事足りる場合もある。

もちろん、あなたの会社に「スライド資料を使ったプレゼン」の文化が根強く定着している場合、スライド資料の作成を回避することはできない。特に、あなたのアイデアに社内の大きな変革が含まれているのであれば、変革の対象となる組織の人たちのもとに赴き、紳士的な姿勢で自分の周囲にその人たちを集めて、スライド資料を使いながら、丁寧に自分の考えを説明して同意を求めるのが賢明である。

このようにスライド資料を使う必要がある場合には、会社規定のフォントやカラーパレットを使用して、見栄えのする資料にすることが大切である。また、スライドには多くの文字を詰め込まず、主としてチャートや図版、画像素材によってページを構成する。スライドの各ページに多くの文字を詰め込むと、プレゼンを聞くオーディエンスは、あなたの言葉に耳を傾けるよりも、文字を読むことのほうに集中してしまうからである。

戦略8:小さな「ワオ!」を含ませる

プロジェクトアイデアを売り込むうえでは、そのプロジェクトが、顧客を満足させる以上の何かをもたらしうることを示す必要もある。言い換えれば、アイデアを聞く側が「ワオ!」「オー!」と思わず口にするような、ちょっとした驚きや気づきを生むことが大切であるわけだ。

例えば、「プロジェクトによる成果物の使い勝手は、顧客の期待を超えられる」「成果物には、顧客を笑顔にできる遊び心が含まれている」といったことが示せれば、アイデアを聞く側に対して驚きや気づきを与えることができる。

もちろん、そのためのアイデアがなかなか思い浮かばないケースがある。そのような場合に重宝するのが、「共感図(Empathy Mapping)」と呼ばれる手法である。これは、ターゲット顧客の視点でモノゴトをとらえるための方法論だ。例えば、以下のような問いかけに対する答えを出しながら、ターゲット顧客の「ペルソナ」を浮き彫りにしていけばよい。

  • 顧客の困り事や願望は何か?
  • 顧客にとって最も重要なことは何か?
  • 顧客は友人や同僚、その他のインフルエンサーから、どのような情報を得ているのか?
  • 顧客はどのような環境にいるのか?
  • 顧客の他者に対する態度はどのようなものか?
  • 顧客は、公の場でどのように振る舞っているのか?プライベートの場ではどうか
  • 顧客はどのような障害に直面しているのか?
  • 顧客は何を得ようとしているのか?

なお、以下の図2は「共感マッピングワークシート」である。英語版で恐縮だが機会があればぜひご活用いただきたい。

画像: 図2:共感マッピングワークシート

図2:共感マッピングワークシート

まとめ:全てを適切にまとめる

以上、プロジェクトアイデアへの社内承認の取りつけるための戦略を示した。

その全体として大切なポイントを改めてまとめれば、まず重要なのは、調査データ(ファクト)や数値目標だけではなく、自分のアイデアをストーリーとして簡潔に伝えるプレゼンを心がけることだ。また、想起したプロジェクトが、誰に対して、どのようなインパクトをもたらすかも強調して訴求し、アイデアを売り込む相手に対して、プロジェクトの成功が、それぞれのビジネス目標の達成にどのように貢献するかを明確に示すことも忘れてはならない。

さらに、プロジェクトポスターや共感マップ、エレベーターピッチなどの資料を共有して、のちに誰もが参照できるようにすることも重要である。ConfluenceやGoogle Docsなどは、情報の変更・更新を関係者全員にプッシュでリアルタイムに伝えることができるので、プロジェクトに関する情報・資料を共有するツールとして有効に機能しうる。

そして最後にもう一つ、付け加えておきたいポイントがある。それは、自分のプロジェクトアイデアを売り込む際には、笑顔を忘れないことである。

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