アトラシアン本社の情報サイト『WORK LIFE』より。アトラシアンのHead of Regulatory Affairs & Responsible Technology、アンナ・ジャフィ(Anna Jaffe)が、AI時代における責任あるテクノロジー活用のため、ガイドラインやレビューテンプレートを刷新・体系化した背景と、その実践的な意義について解説する。

本稿の要約を10秒で

  • アトラシアンは、AIガバナンスや責任あるテクノロジー活用のためのガイドラインやテンプレートを新たに整理・体系化した。
  • 実践しやすいリソースをまとめ直し、現場で活用しやすい形に刷新した。
  • チームや個人が責任あるAI活用を進めやすくなるよう、具体的な手順や事例も充実させた。
  • 継続的な学びと対話を促し、信頼されるAI活用文化の定着を目指している。

アトラシアンが掲げる「すべてのチームの可能性を解き放つ」というミッションは、単に優れたツールを開発することだけを意味しない。重要なのは、私たち自身の価値観や顧客、従業員、そしてコミュニティのステークホルダーのニーズにしっかりと寄り添い、責任を持ってツールを作り上げることにある。AIがチームの働き方を大きく変革しつつある今、理念や原則だけでは十分とは言えない。責任あるAIの活用は、すべてのチームにとって現実的かつ実践的なものとして根付かせる必要がある。

だからこそ、今回私たちは新たにアップデートした責任あるAI活用のためのリソース*1を公開する運びとなった。具体的には下記の2つである。

  • 「責任ある AI ガバナンスに関する実用的で明快なガイド」
  • 刷新された「責任あるテクノロジーレビューテンプレート」

これらは、現場のチームが実際に責任あるAI活用を推進するための、実用的なツールとして設計されている。今回のアップデートは、これまで積み重ねてきた基盤*2の上に成り立っている。

2023年には「責任あるテクノロジー原則」*3を初めて公開し、それに続いてこれらのリソースの初期バージョンもリリースした。その後、私たちは多くの声に耳を傾け、学び、そして改善を重ねてきた。ここからは、今回のアップデートのポイント、私たちが得た学び、そしてあなたのチームが今日から始められる具体的な方法について紹介する。

最新アップデート:「責任あるAIガバナンスガイド」のポイント

今回アップデートしたガイドは、あらゆる規模のチームが急速に変化するAIとそのガバナンスの世界を迷わず進めるよう設計されている。また、関連する「責任あるテクノロジーレビューテンプレート」も、より本質的な問いに絞り込み、AI活用の経験値に関わらずどのチームでも使いやすいようにシンプル化した。

この刷新は、アトラシアン社内外の多様なチームから数ヶ月にわたりフィードバックを集めた結果である。何がうまく機能し、どこに改善の余地があり、どのようなサポートが求められているのかを丁寧に聞き取り、それをもとにトレーニングやリソースを拡充し、顧客やコミュニティにとって重要なAI活用事例によりフォーカスを当てる形で内容を磨き上げた。

さらにこのガイドでは、アトラシアン社内にとどまらない責任あるAIへの取り組みも紹介している。たとえば、EU AIパクトへの参加*4や、Human Technology Instituteをはじめとする業界リーダーとの連携などを通じて、アトラシアンだけでなく、より広いエコシステム全体における責任あるAIのあり方を共に形作っていく姿勢を示している。

責任あるAIへの進化──アトラシアンのこれまでとこれから

アトラシアンがこれから目指す責任あるAIの姿勢は、これまで一貫して私たちのアプローチを支えてきた3つの柱に基づいている。この3つの柱は、社内の仲間はもちろん、顧客や政策立案者、コミュニティのステークホルダーとのパートナーシップから得た知見を反映したものだ。これらは、アトラシアンにおけるAIの開発・導入・ガバナンスの土台となり、今後も私たちが信頼を得ながら、より良い意思決定を重ねていくための指針となる。

これら3つの柱は、次のような形で実践されている。

  1. 原則を現場で体現すること
    アトラシアン独自の価値観に根ざした「責任あるテクノロジー原則」*3は、現実のチームが柔軟かつスケーラブルに活用できる「責任あるテクノロジーレビュー」という実践を通じて具体化されている。
  2. チームで共に学び続けること
    責任あるAIの実現は、個人ではなくチーム全体の取り組みであると考えている。そのため、AIを安全かつ責任を持って活用するための知識やツールをチームに提供し、学びと改善を継続的かつ協働的なプロセスとして推進している。
  3. 透明性を確保し、対話を促進すること
    私たちは「何をするか」だけでなく、「なぜ、どのように行うか」も積極的に共有することにこだわっている。EU AIパクトへの参加は、変化する規制から学び、その知見をコミュニティと分かち合う取り組みの一例である。

私たちはこの取り組みを通じて、責任あるAIの実現は「チェックリストを埋めるだけの作業」ではなく、継続的なプロセスであることを学んできた。最も効果的なAIガバナンスとは、既に機能している仕組みを土台にしつつ、新たな課題に柔軟に対応し、透明性と協働を重視する姿勢である。

テクノロジーが進化し続ける中で、私たちのアプローチも変化していくだろう。しかし一つだけ変わらないのは、「力強く、かつ原則に基づいたAIをつくる」という私たちのコミットメントである。

責任あるAI導入のために

あなたのチームでも、責任あるAIの実践を始めてみませんか?ゼロから始める必要はない。以下のステップで、誰でも取り組みをスタートできる。

  • まずは、アトラシアンの基本理念に基づいて刷新された「責任ある AI ガバナンスに関する実用的で明快なガイド」*5を読んでみよう。このガイドは「責任あるテクノロジー原則」[*3]を土台としている。
  • 次に、「責任あるテクノロジーレビューテンプレート」*6を自分たちのAIプロジェクトで実際に使ってみよう。

そして何より大切なのは、責任あるAIの実践はチーム全体で取り組むものだということだ。ぜひリソースを活用し、あなたの意見や気づきを私たちに共有してほしい。コミュニティの対話に参加することが、より良いAI活用への第一歩となる。

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