アトラシアン本社の情報サイト『WORK LIFE』より。ライターのキャット・ブーガード(Kat Boogaard)が「トランスフォーメーショナル リーダーシップ(変革型リーダーシップ)」について説く。

本稿の要約を10秒で

  • 「トランスフォーメーショナル リーダーシップ(変革型リーダーシップ)」とは、個人と組織のポジティブな変化をリードするリーダーシップスタイルである。
  • 変革型リーダーシップスタイルをとるリーダー(=変革型リーダー)は一般に、力強いビジョンとオープンマインドを兼ね備え、カリスマ性があり、チームを信頼している。
  • 変革型リーダーは、チームのメンバーの個人的な幸福感や充足感を満たすことで変革に対するチームのモチベーションを高める。

「トランスフォーメーショナル リーダーシップ(変革型リーダーシップ)」とは

あなたは、自分のチームのリーダーからこんなふうに言われた経験はないだろうか。

「これがいつものやり方だ。変えてはならない」

このようにいうリーダーは「トランスフォーメーショナル(変革型)」とは正反対のタイプだ。このタイプのリーダーは、たとえ従来どおりのやり方が非効率であっても、慣れ親しんだプロセスに固執する。つまり、彼らは、ボートを揺らしたり、自分たちの常識から逸脱したりすることを嫌う人たちなのである。

それに対して「トランスフォーメーショナル リーダーシップ(変革型リーダーシップ)」のスタイルをとる変革型リーダーは、現状に決して満足せず、より良いものを追求しようとする。
ここでいう変革型リーダーシップとは、個人と組織のポジティブな変革(変化と改善)をリードすることを指し、変革型リーダーは、システムやプロセス、チーム、あるいは組織全体を変革することを目標とする。

いうまでもなく、変革型リーダーシップがすべての状況において有効とは限らない。ただし、適切な状況で変革型リーダーシップを発揮すれば、大きなプラスの影響をチームに与えうる。ゆえに、変革型リーダーは変革のチャンスを逃さず特定する。そのうえで、変革に向けた計画を立て、変革に対するチームの意欲を振るい立たせて実行に移すのである。

ちなみに、変革型リーダーシップ(=オペレーショナル リーダーシップ)という言葉は、1973年に社会学者のジェームズ・V・ダウントン(James V. Downton)氏が造った用語だ。ただし、一般的に知られている変革型リーダーシップの提唱者は、その概念を発展させたリーダーシップの専門家、ジェームズ・マクレガー・バーンズ(James MacGregor Burns)氏である。

また、過去数十年にわたり、他の専門家も変革型リーダーシップのアプローチを発展させてきた。そして今日、このリーダーシップは、イノベーション力や変化への適応力を向上させたいと願う組織の間で人気の高いスタイルとなっている。

変革型リーダーの資質とは

他のタイプのリーダーと同様に、変革型リーダーにも必要とされる資質がある。その資質を持たない(あるいは、持てない)リーダーは、変革型リーダーシップを発揮するのが難しいといえる。その資質とは以下の5つだ。

  1. 力強いビジョン: 変革型リーダーは、自分たちがどこに向かうべきかについて明確なビジョンを持ち、モチベーションを喚起するやり方でそれをチームに伝え、理解を促すことができる。
  2. カリスマ性:変革型リーダーは、多くの場合、インスピレーションに富み、カリスマ性の高い人物とされる。また、部下に寄り添い、彼らを育て、励まし、指導する。
  3. オープンマインド:変革型リーダーは変革に貪欲である一方で、変革が常にトップダウンで行われる必要がないことを認識している。その意味で、変革型リーダーは強権型ではまったくなく、親しみやすく、オープンマインドで常に他者からのフィードバックやアイデアを聞きたいと望んでいる。
  4. 柔軟なアプローチ: 変革は険しい道のりであり、新しいアイデアのすべてがうまくいくわけではない。変革型リーダーは、そのことを理解しており、独創的なアイデアがうまくいかなかった場合でも、失敗から学び、状況に柔軟に適応して、さまざまな策を繰り出していく。
  5. 信頼:ある研究(参考文書(英語))によれば、変革型リーダーシップには周囲からの信頼が不可欠であるという。また、変革型リーダーは、自分のチームのメンバーに対しても信頼を置いていなければならない。そのうえで、仕事に対するメンバー各人のオーナーシップマインドと自律性を育むことが重要とされている。

上記の資質はすべて、変革に対するチームの落胆やフラストレーション、不満を生むことなく、変革に突き進むうえで役に立つものである。

変革型リーダーシップを構成する4つの要素

変革型リーダーシップの根底にあるのは変革(変化と改善)だが、それを実現する方法はさまざまにある。その中で、変革型リーダーシップを発揮するうえで欠かせない要素は大きく4つあるとされている(参考文書(英語))。

その構成要素とは、欧米で4つの“I”として知られる「①Idealized influence(理想化された影響力)」と「②Inspirational motivation(感情を揺り動かす動機づけ)」「③Intellectual stimulation(知的な刺激)」「④Individual consideration(個人への配慮)」だ。それらの概要は以下のとおりである。

  1. 理想化された影響力:チーム全体の模範となる模範的なリーダーシップを示す。
  2. 感情を揺り動かす動機づけ: 変革にかかわる全員がリーダーのビジョンを共有して共感し、高揚感をもって変革に取り組めるように動機づける。
  3. 知的な刺激: クリティカルシンキング(参考文書)や既成概念にとらわれない着想を奨励する。
  4. 個人への配慮:変革にかかわるチームのメンバー各人の強み、目標、ニーズを考慮し、コーチやメンターとして行動する。

これらの要素はそれぞれ単独でも価値がある。ただし、それらをすべて組み合わせることで、真の意味での変革型リーダーシップを体現することが可能になる。

変革型リーダーシップ vs. トランザクショナルリーダーシップ

変革型リーダーシップと「トランザクショナルリーダーシップ」はともに従業員のやる気を引き出すことを目的の1つとしてしているものの、根本的にまったく異なるリーダーシップスタイルである。

変革型リーダーシップが変革(変化と改善)に向けた従業員の共感とやる気の喚起に重点を置く。それに対し、「商取引」の考え方をベースにしたトランザクショナルリーダーシップは、より厳格、かつ構造的であり「報酬」と「罰」を用いて従業員のやる気や成果を引き出そうとする。例えば、変革型リーダーならば、従業員を力強いビジョンや目的と結びつけることで変革への動機づけを行おうとする。それに対して、トランザクショナルなリーダーは、ボーナスのような目に見える報酬によって従業員のやる気を引き出そうとする。

これらのスタイルに絶対的な優劣はない。それぞれに長所と短所、そして使いどころがある。

変革型リーダーになるための実践手法

あなたがチームリーダーの立場にあるならば、何らかのリーダーシップスタイル(参考文書(英語))をすでに持っていることだろう。それはチームを率いているときも、期限付きのプロジェクトを率いているときでも、デフォルトで使うアプローチになっているはずだ。

ただし幸いなことに、自分のリーダーシップスタイルはさまざまに変化させることができる(特に状況対応型リーダーシップ(参考文書)をとっている場合は、特定の状況に自分のアプローチを柔軟に適応させることができる)。

ならば、自身のリーダーシップスタイルを変革型リーダーシップスタイルへと変化させるには何をどうすれば良いのだろうか。以下、変革型リーダーになることを熱望している方々に向けて、そのリーダーシップを体現するための実践手法をいくつか紹介する。

手法①
自分(ないしは自分たち)がどこに向かっているかを具体化する

繰り返すようだが、変革型リーダーシップでは、変革への人々の興奮を喚起することが重要である。そのためには、自分が何を目指しているかを明確にしておく必要がある。言い換えれば、自分の目標やビジョンのもとに組織・チームをまとめるうえでは、「変革の内容」「変革の理由」「変革に必要とされるステップ」、さらには「変革の遂行によってどのような課題に直面する可能性があるか」といった事柄を具体的に説明できるようにしたくことが大切なのである。

もっとも、必ずしもトップダウン方式でビジョンをチームに伝える必要はない。例えば「問題フレーミング(=問題の原因や問題が外部に与える影響など、問題を詳細に深掘りすること)の実践手法(参考文書)を使いながらチームとオープンに話し合い、解決すべき問題に対する認識を一致させ、そのうえで次のステップに臨むのも有効である。また、そうすることで問題に対するチームのメンバー全員の関心が高まり、結果として、問題解決への関心も高まっていく。

さらに、問題に対するチーム全員の認識を一致させたのちにはアトラシアンの「Team Playbook」にある「ビジョンの構築」プレイ(参考文書)を実行して、チームの明確な将来イメージを描き、その実現に対するチームのモチベーションを高めると良い。

手法②
「何がうまくいっていて、何がうまくいっていないか」を点検する

先の記述からもわかるとおり、変革型リーダーシップにおける「変革」では、単なる変化ではなく改善することを目的にしている。その目的を達成するためには改善が必要な領域やプロセスに焦点を当てる必要がある。

そこで、まずはチームの仕事に注意を払うことが重要となる。そのうえで「何度も同じボトルネックに突き当たっていないか」「いつも目標どおりに達成できない事柄はないか」といった点をチェックすれば良い。また、そのための手法としてアトラシアンのTeam Playbookにある以下の2つを実行されることをお勧めしたい。

  • チームの状態を評価するための「ヘルスモニター」(参考文書
  • プロジェクトを評価するための「ふりかえり(レトロスペクティブ)」(参考文書

これらはリーダーが1人で行うべきものではない。チームのメンバー全員にこれらの点検作業に参加させ、調整が必要だと思う事柄について率直で建設的な意見をいえるようにすることが大切である(先にも触れたとおり、変革型リーダーシップはチームの自律性や変革への自発的な貢献を重視するスタイルでもある)。

手法③
マイクロマネジメントを避ける

共通の目標に向かってチームを「団結させること」とチームに対して「命令を下すこと」とは大きく異なる。

変革型リーダーは「コーチチングリーダー(コーチ型リーダー)」(参考文書(英語))と似たところがあり、メンターや労働力としての役割を果たすが、目標の達成に向けた作業はすべてチームに任せて、邪魔をせず、メンバーたちが仕事をやり遂げることを信じて待つことが重要となる。

チームリーダーの中には、メンバーの行動を細かくチェックして指示を与えるマイクロマネジメントに慣れてしまっている人がいる。そうした人たちには、チームを信頼して仕事を一任するのは難しいことかもしれない。ただし、目標の達成に向けて、メンバー各人が何を成すべきかを事前に明確化しておけば、リーダーが常にハンドルを握っていなくても、チームは正しい方向に進むことができるのである。

また、アトラシアンのTeam Playbookにある「チームの目標、シグナル、指標」プレイ(参考文書)や「OKR(Objectives and Key Results:目標と主な成果)」(参考文書)のようなフレームワークを使うことで「成功する変革のプロジェクトとはどのようなものか」や「変革のプロジェクトが軌道に乗っているかどうかをチームの全員で何を指標に確認するか」を定義することが容易になる。

さらにリーダーは、必要なときに、いつでもメンバーからの相談に耳を傾けるオープンな姿勢を保つことが大切であり、そうした姿勢をチームに明確に示すことも等しく重要である。

手法④
「幸せ」を追求する

ある研究結果によると、個人的な幸福感が強いリーダーほど優れたリーダーであるという(参考文書(英語))。

また別の研究によると、チームは幸せなリーダーを変革型と見なす傾向が強いようだ(参考文書(英語))。つまり、変革型リーダーでありたいなら、自分の幸せに投資をする必要があるということだ。

これは、簡単なことのように思えるが、実際には難しい。特に、あなたがチームの目標を管理して進捗状況を把握し、複雑なチームの力学に対処している場合はなおさらだ。このような場合、自分の幸せよりも、チームのメンバー各人のウェルビーイング(心身の健康)や幸福を優先させがちになる。ただし、自分が幸せでない人は、他者を幸せにはできない。ゆえに、チームに対してだけでなく、自分自身に対しても「思いやり」を実践することが大切であり、それが変革型リーダーになるための一手でもある。

また、思いやりのある「コンパッションネイト リーダー」(参考文書)は、思いやりに欠けるリーダーよりもストレスが少なく幸福度が高いとされている(参考文書(英語))。その意味でも、自分自身を思いやる「セルフ コンパッション」のエクササイズ(参考文書(英語))を試し、自分自身に少し優しくなってみてはいかがだろうか。

変革型リーダーシップへのチャレンジ

変革型リーダーシップは、仕事に対するチームのやる気や熱意が不足している(あるいは、減退している)状況において特に効力を発揮するリーダーシップスタイルでもある。

もちろん、チームの変革、つまりはチームのシステムや仕事のプロセス、組織のあり方を変化させ、改善するのは大仕事であり、相当の時間も要する。加えて、リーダーシップにおける自身のアプローチを変えるのであれ、さらに多くの時間が必要とされる。

したがって、変革型リーダーになることを望むのであれば、上で説明した手法のいくつかを選び、全力を傾けて実践することをお勧めしたい。そうすれば、時間の経過とともに相応の進歩が見られるはずである。実のところ、変革においては、その結果と同じくらい、変革のためのプロセスが重要なのである。

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