アトラシアン本社の情報サイト『WORK LIFE』より。ライターのサラ・ゴフ・デュポン(Sarah Goff-Dupont)が「メンターシップ」の構築法について説く。

人生に翻弄されたときのメンターとは?

私たちは皆、キャリアのどこかの時点で「帆船の帆に風穴を開けられたような状態」、つまりは何らかの事象によって前に進めなくなる状態に陥る。その打撃はときとして致命的な失敗というかたちでやってくる。また、家庭を持ったり、外国移住を決めたりと、自分自身でキャリアの帆に風穴を開けてしまうこともある。

いずれにせよ、あなたはいま、人生における優先順位について見つめ直している状態にあるとしよう。「このような逆境にあるときこそ、私たちは自分自身について、つまりは自分の性格やどう成長したいかを本当に知ることができるのです」と、リーダーシップコンサルタントのパトリック・ボーランド(PatrickBoland)氏は指摘し、このタイミングで必要なメンターについて次のような見解を示す。

「人生の岐路、あるいはキャリアの岐路にたったときに頼りになるメンターは、あなたが直面する問題を理解したうえで、その問題がもたらすチャンスをクローズアップするかたちで、あなたが置かれた状況をとらえ直す手助けをしてくれる人です。あなたを応援してくれる人でありながら、あなたの目標に責任を持たせてくれる人が理想的と言えるでしょう」

【メンターと話し合うべき3つのこと】

  1. どのような変化であれ、あなたがいま感じていること
  2. あなたが今いる場所(ないしは逆境)からどのように前進するつもりなのか
  3. 現状から抜け出したときにどうなっていたいのか

転職を考えるときに必要なメンターとは?

近年では、自身のキャリアパスを一直線の道筋としてとらえる人はほとんどいなくなっている(少なくとも米国のナレッジワーカーの間では)。

とはいえ、誰にとっても転職は勇気のいる、重い決断である。また、自分が身を投じている業界全体に対して失望していたり、理想に燃えていた高校時代の自分に想いを馳せながら、いまのキャリアを選択したことに後悔の念を募らせているかもしれない。

どんな理由であるにせよ、転職を考えている人には「聞き上手」のメンターが必要とされる。また、聞き上手であることに加えて、個人的なレベルであなたのことを知っていて、かつ、あなたが自分自身に正直でないときにそれを指摘できる人が理想的と言えるだろう。

いずれにせよ、メンターの役割は、あなたのために決断を下すことではなく、決断のプロセスを通じてあなたを導くことである。この点について前出のフェリス氏はこう話す。

「(転職を考えているときに)最も役に立つメンターのタイプは、答えを教えてくれる人ではなく、答えを見い出すためのより良い方法を教えてくれる人です」

【メンターと話し合うべき3つのこと】

  1. 転職を考える理由
  2. 自分の価値観や目的意識に合う業種、職種
  3. 転職に対する自分の目標と、その選択が正しかったかどうかを知る方法

組織・チームのトップになったときのメンターとは?

仮にあなたが組織・チームのトップになったとしよう。このとき、オフィスの隅に座っているにせよ、目的意識と達成感が充足されているにせよ、部下たちとの密接な交流を失ってはならない。というのも、あなたのキャリアの中で、若手のプロフェッショナルたちがあなたに指導を求めてくるのはこの時期であるからだ。その機会を受け入れれば、次代を担う社員の育成に貢献できるだけでなく、あなた自身のキャリアをさらに向上させることができるのである。

ミレニアル世代で病院のマネージャーであるローレン・ホービー(Lauren Hoebee)氏は、TEDトークを通じ「組織・チームのトップは、駆け出しの従業員から多くを学ぶことができる」と、私たちに気づかせてくれた。

ホービー氏はこう述べている。

「ベテランのプロフェッショナルは、駆け出しの若手たちから発せられる『なぜ(Why)』に挑むこと、あるいは、よりスマートに働くための新たな洞察を得ることで多くのベネフィットを手にすることができます。また、若手との交流によって、若い世代が使っている新しい対話のインタフェースのトレーニングを自ずと受けることもできるのです」

要するに、トップになったときの理想的なメンターとは、あなたをメンターとして利用している部下たち、すなわち「メンティー」であるということだ。

【メンター(メンティー)と話し合うべき2つのこと】

  1. サステナビリティの高いワークライフバランスの確立
  2. 自分の所属する業界に大きな影響を与えているツールやトレンド

良質なメンターシップによって成功の可能性が高まる

メンターシップを築く際には、見知らぬ人に助けを求めなければならないことがよくある。ただし、それを恥ずかしがる必要はない。人は基本的に他者に親切にするのが大好きであり、尋ねられれば誰に対しても自分の専門知識を教えてくれるものだ。

とはいえ、冷やかし半分で「私のメンターになってくれませんか」と頼むのは厳禁である。大切なのは、気軽にアドバイスを求めても良いと思えるところまでメンターとの人間関係を深めることであり、そのための時間や手間を惜しんではならない。

さらに重要なのは、メンターに対して「たまに相談を持ちかける」という姿勢だ。2~3カ月に1度以上の頻度で相談するようであれば、キャリアコーチを雇ったほうが適切と言えるだろう。

また、キャリアが新しい段階に入るたびに、新しいメンターをゼロから探す必要もない。特定の一人が何年も効果的なメンターとして働いてくれる場合もある。幸運にもそのようなメンターと巡り会えたならば、変化の時期に必ずそのメンターに相談を持ちかけることが大切である。そして、相談に応じてくれた相手に対し、感謝の気持ちを伝えるメモや小さな贈り物をするのも良いだろう。

もちろん、メンターとの関係がキャリアの成功を保証するわけではない。ただし、過去にアトラシアンが実施したチームのパフォーマンスと士気に関する調査では、気軽に相談できるメンターがいることと従業員のパフォーマンスや幸福度の高低との間に強い相関関係があることが明らかになっている。この調査結果は決して偶然の結果ではない。

This article is a sponsored article by
''.