アトラシアン本社の情報サイト『WORK LIFE』から新着コラム。アトラシアン「Confluence」のマーケティングマネージャー、ブリタニー・サドロウ(Brittany Sudlow)とWORK LIFEの編集者であるトリッシュ・サマー(Trish Sammer)がチームの成長を促すマインドセットの開発方法について紹介する。

本稿の要約を10秒で

  • キャロル・ドウェック教授の研究に基づく「固定型マインドセット」と「成長型マインドセット」の研究は、人のさまざまな行動に対する洞察を与えてくれる。
  • これら2つのマインドセットはチーム単位でも存在し、チームがどちらの状態にあるかを特定し、成長型にシフトさせることでハイパフォーマンスなチームになることができる。

ハイパフォーマンスチームに共通する特性

ハイパフォーマンスチームとはどのようなチームか──。これは、チームのマネージャーなら誰もが抱く疑問なはずである。この問いへの答えはさまざまだが、ハイパフォーマンスチームには以下に示す3つの共通した思考がある。

  1. リスクをとって挑戦することをおそれない。
  2. 壮大な目標を受け入れ、それを自己のスキルセットの拡張と自分自身の可能性を証明する機会ととらえる。
  3. これまでの業務の進め方にこだわりを持たず、新しいプロセスやツール、あるいは方法論を試すことに積極的である。

これら3つの特性はすべて「成長型マインドセット」に分類されるものだ。

「成長型マインドセット」とは成長する人が共通して持つ思考であり、米国スタンフォード大学のキャロル・ドウェック(Carol Dweck)教授が発見した。このマインドセットの対極にあるのが「固定型マインドセット」と呼ばれる。そして、これら2つのマインドセットの概念をチームの育成に適用すると、なかなか成長できないチームを成長するチームへと変容させることが可能になる。

そこでまずは、成長型マインドセットと固定型マインドセットの違いについてもう少し詳しく見ていくことにする。

成長型と固定型の違いとは

ドウェック教授によると、私たち人間は(ほとんどの場合)、成長型か固定型かのいずれか一方のマインドセットを持ち、そのマインドセットに則った行動をとるという。

このうち固定型マインドセットを持つ人は、人の能力、知性、性格、さらには仕事に対する適性は先天的なものであり、のちの努力では身につけたり、変えたりできないと考えるとドウェック教授は説明する。

「要するに、固定型マインドセットの人は、仕事における自分の成功は、自分の“適性”に依存すると見なすということです。自分は賢いのか、そうでないのか、その仕事が得意なのかどうかで成否が決定づけられると考えてしまうわけです」

それに対して、成長型マインドセットを持つ人は、成功は努力によってつかむものと考える。ドウェック教授のTED Talkでの講演によると成長型マインドセットの考え方は「まだ(yet)」という一つの単語で表現できるようだ。例えば、以下のようなかたちである。

  • 私は“まだ”それを行う方法を学んでいない。
  • 私は“まだ”それを習得していない。
  • 私は“まだ”それを理解できていない。

こうした思考は学習へとつながっていく。言い換えれば、成長マインドセットを持つ人は、自分は常に学習プロセスの途上にあると認識し、仮に何かに失敗しても、そこから学び、自らを成長させていく意欲があるという。

ちなみに、マインドセットが成長型か固定型かの違いは、小学生のころから現れ始めるようだ。

成長型マインドセットを持つ人は、子どものころから自分の能力や才能は、努力と優れた教育、そして粘り強さによって伸ばせると信じています。もちろん、彼らもすべての人間が同じであるとか、努力次第で誰でもアインシュタインになれるとは考えていません。ただし、努力によって、誰でもいまより賢くなれると信じているのです。(ドウェック教授)

チーム単位でも存在するマインドセット

ドウェック教授が同僚と共同寄稿した『ハーバードビジネスレビュー』誌の記事によると、企業は従業員に対して、特定のエリアに留まるべきか、新しいことを受け入れるべきか、業務に応じてどちらかのマインドセットが必要かを無意識のうちに示しているようだ。

重要なことは「スター社員」に報酬を与えるのではなく、新たな知識の習得とスキルセットの拡張を奨励・評価する文化を育むことであると、ドウェック教授は指摘し、そうすることの効果を次のように述べている。

成長型マインドセットを育もうとする企業の従業員は、会社が自分の成長にコミットしていると感じ、活力を得ているようです。また、成長型マインドセットを大切にする企業の従業員は、チームのコラボレーションとイノベーションに対する組織的なサポートも十分に受けていると感じています。

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