アトラシアンには、働き方改革のエキスパートが多くいる。その一人が、ワーク フューチャリストのドム・プライス(Dom Price)だ。彼は企業組織のリーダーに向けて、変革のためのメッセージをコラム形式で発信し続けている。この連載では、そのエッセンスをお伝えしていく。

猛烈な勢いで変化する世界

世界は猛スピードで変化している。米国だけで1日平均1,240社ものスタートアップが生まれ、新たな技術、新たなビジネスモデルが矢継ぎ早に登場している。
こう言うと、「そんなことは、先刻承知だ」と、誰もが口にする。そう、世界が猛烈な勢いで動いていることは周知の事実である。

ならば、あなたの会社は、組織は、そうした変化に対応できているだろうか。
昨年まで、上手く回っていたビジネス手法が今年いきなり通用しなくなるのが、今の時代である。そんな時代の中で、これからを生き抜くために必要なこととは何なのか──。多くの組織、あるいは企業人に共通して言えることは、以下に示す「悪しき習慣」を即刻改めることである。

悪しき習慣①トレーニングへの投資を先延ばしにする

スキルの強化・獲得のためにトレーニングを積むことは、今日の生産性を犠牲にすることのように思えるかもしれない。だが、トレーニングは明日のパフォーマンスをアップさせるための投資と考えるべきである。

例えば、プロのエリートアスリートたちは、週40時間以上をトレーニングに当てる一方で、試合(つまりは、仕事)の時間は週当たり1時間程度にすぎない。その中で、彼らは常に新しいスキル、新しい肉体を獲得しようと努力を続け、今より高いパフォーマンスを発揮するための戦略を練り上げている。

かたや、ビジネスのプロである企業人はどうなのか。週40時間を仕事に費やし、トレーニングに割く時間は多くて1時間程度。これで本当に、これからの戦いに勝てるのか──。是非、ご一考いただきたい。

悪しき習慣②知識だけを得る

知識を得ようとすること自体は、決して悪いことではない。問題は、知識だけを得て、何も実践に活かそうとしないことである。

インターネットのおかげで、知識の収集はきわめて簡単になり、かつ、チープにもなった。ただし、知識だけを頭に詰め込んだところで、応用や実践が伴わないのであれば、ビジネスの世界では意味を成さないし、役に立たない。

悪しき習慣③組織のトップにアイデアを求める

伝統的な組織ではよく、ビジネス上のインスピレーションやアイデアを得るために、組織のトップに意見を求めようとする。だが、それが“常識”と思い込んでいる組織は、滅亡への道を突き進んでいるか、自身の滅亡を避けるために、最悪の転換を図ろうとしているかのいずれかである。

変革のアイデアは、ビジネスの前線で働き、日々顧客と接している社員たちにこそ求めるべきだ。とりわけ、2000年以降に成人を迎えたミレニアル世代は、デジタルネイティブの世代でもあり、トレンドに対して鋭いセンスを持っている。革新的で良質なアイデアは、こうした社員の中で、自社に愛着を持つ人からやって来る。アイデアの優劣と、組織上の席次との間には何の関係もない。

悪しき習慣④部下にはっぱをかける

どこの国でも地域でも、1日の長さは24時間でしかない。
その中で、社員たちの時間をより多く仕事に振り向けさせる伝統的な手法は、目の前ににんじんをぶら下げて、もっと働けと鞭を入れることである。ただし、それで得られるのは社員からの反感だけだろう。

大切なのは、社員たちの日々の生産性ではなく、最終的な結果にフォーカスを絞ることだ。長期的なビジョンを設定し、その下で、個々の社員が自律的に意思決定を下せる環境を築き、古いやり方を捨て去る。そして、彼らの好奇心や創造性を信じる。これによって社員たちは、より大きなインパクトをビジネスに与えるようになるはずである。

悪しき習慣⑤難解言葉でしゃべらない

社員や部下に何らかのメッセージを伝える際、やたらと回りくどく、難解なビジネス用語や言葉使いを多用する向きがある。ただし、そうすることは明らかに間違いで、すぐにやめるべきである。
難解言葉で語りかけても、今日の誰からも尊敬を受けないし、逆に、自身の権威を傷つけることにもなりかねない。それどころか、重要な取り組みの進展にも負の影響を与えてしまう。

社員や部下の共感を得るには、シンプルで誰にでも分かりやすい言葉で、ストレートに自身の考えを訴えかけるのが大切だ。それができなければ、優れたリーダーにはなりえない。

This article is a sponsored article by
''.