新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の流行を境にリモートワークが定着し、合理性が増したとされる日本の働き方。一方で、チーム内外におけるミュニケーションの機会が減り、情報共有が図りにくくなったとの声も聞かれている。その問題を解決する術(すべ)を探るべく、アトラシアンの主催の2022年11月17日に行われたイベント「Atlassian TEAM TOUR Tokyo 2022」では、新しい働き方とオープンな情報共有を両立させる方策にフォーカスを当てたパネルディスカッションが展開された。本ディスカッションのエッセンスを報告する。

リモートワークが標準の働き方になるなかで

本パネルディスカッションの演題は「新しい働き方とオープンな情報共有の両立 - コラボレーション促進のために今、必要な視点とは」。この演題のもと、青山商事 執行役員リブランディング推進室長の平松 葉月氏とヤフー システム統括本部ITサービスデザイン本部の高橋邦洋氏がパネリストとして登壇し、フリーランスライター/編集者の伏見学氏がモデレーターを務めた。

画像: 青山商事株式会社 執行役員 リブランディング推進室長 平松葉月氏

青山商事株式会社
執行役員 リブランディング推進室長
平松葉月氏

画像: ヤフー株式会社 システム統括本部ITサービスデザイン本部 高橋邦洋氏

ヤフー株式会社
システム統括本部ITサービスデザイン本部
高橋邦洋氏

画像: フリーランスライター/編集者 伏見学氏

フリーランスライター/編集者
伏見学氏

今回、伏見氏がディスカッションの大きなテーマとして掲げたのは「リモートワークという働き方が社内に与えた影響とは何か」「リモートワークが標準的な働き方になるなかで、コミュニケーションや情報共有のあり方はどう変化したのか」「情報共有を活性化させるための具体的な取り組みは何か」「情報共有のあり方を今後どう発展させたいのか」の4点だ。以下、これらのテーマに沿ったかたちで、ディスカッションの要点を一問一答の形式で紹介する。

リモートワークが社内に与えた影響とは

伏見氏(以下、敬称略):コロナ禍によって多くの企業が、リモートワークを標準的な働き方として採用しました。青山商事でも、コロナ禍を境にリモートワークを取り入れたとお聞きしています。それによってどのような影響がありましたか。

平松氏(以下、敬称略):一言で表現すれば、コロナ禍をきっかけにしたリモートワーク体制への移行は本当に大変でした。当社の業態は服飾品の企画・販売(小売)で、従来の働き方はいわゆる「オフラインファースト」。ゆえに、リモートワーク用のシステムはないに等しい状態でしたし、拠点も全国に分散しています。そんな中でいきなり出社ができない状態になったのはかなり辛い経験でしたね。

伏見:それから、およそ2年が経過した現在はどうなのでしょうか。

平松:現在はリモートワークの仕組みやルールが整備され、コロナ後も継続してリモートワークが行える環境が整えられています。ただし、リモートワーク主体で働く人と、コロナ前と同様に出社前提で働く人との間にマインドの格差が生まれ、そのギャップが完全には埋められていない状況が続いています。

伏見:なるほど。コロナ禍をきっかに「ハイブリッドワーク」を採用しつつも、その働き方はすべての社員に受け入れられているわけではないということですね。

平松:そういえるかもしれません。

画像: コロナ禍による働き方の変化が社内に与えた影響について語る平松氏(写真中央)

コロナ禍による働き方の変化が社内に与えた影響について語る平松氏(写真中央)

伏見:一方で、ヤフーではコロナ禍以前からリモートワークを働き方の標準として採用していたと記憶しています。コロナ禍によって何らかの変化はあったのでしょうか。

高橋氏(以下、敬称略):おっしゃるとおり、当社では2014年から「どこでもオフィス」という1カ月に何日かをリモートワーク(在宅勤務)にあてて良いという制度が始まっていました。そのため、コロナ禍の際も、リモートワーク用のIT環境がすでに整備された状態にあり、情報共有についてもアトラシアンのデジタルワークスペース「Confluence」に仕事上のあらゆる出来事を書き込み、皆で共有することが文化として根づいていました。業務や情報共有については、コロナ禍による負の影響はほとんど受けなかったといえます。

リモートワークでもコミュニケーションは円滑に

伏見:平松さんは、コロナ禍によるリモートワークへの強制的な移行で大変ご苦労されたようですが、リモートワークへの移行で相応のベネフィットも得られたのではないですか。

平松:そうですね。何よりも良かった点は出張が激減したことです。以前の私は、当社の東京本社と広島県福山市にある本社とを行き来することが多かったので、リモートワーク環境の整備でその必要がなくなったというのは個人的にもありがたいことでした。

伏見:その効果は、移動のコストと時間が削減され、業務の効率性や経済性が上がったという理解でよろしいでしょうか。

平松:それもベネフィットですが、それよりも、ビデオ会議やチャットなどのツールを通じて、リモートにいる同僚や各部門のリーダーと気軽にミーティングをしたり、雑談したり、相談事を持ちかけられるようになった効果のほうが大きいと感じています。

当初は、目上の人や上司にチャットでメッセージを送るのは失礼にあたるとの感覚がありましたが、リモートワークに慣れるのに従ってそうした抵抗感も薄れていきました。いまでは、目上の人や上司とも当たり前のようにチャットでメッセージを送受しています。結果として、コミュニケーションがよりフランクになり、効率的で効果的になったと感じています。

高橋:平松さんがおっしゃるとおり、環境さえ整っていれば、コミュニケーションや情報共有に関してリモートワークによる不自由さや難しさは感じないはずです。もちろん、新人がチームに馴染むスピードはチームメイトの顔が常に見えるリアルのオフィスのほうが早いかもしれません。また、同僚が隣にいたほうが、ちょっとした質問を投じやすいのも事実です。ただし、それ以外の部分でリモートワークのデメリットはほとんどありません。加えて当社の場合、先に触れたようにConfluenceに仕事に関する情報がすべて集約されています。その情報を閲覧すれば、チームに新しく加わった人も、特別なトレーニングを受けることなく仕事の内容をすぐに把握することが可能になっています。

画像: リモートワークでもコミュニケーションは円滑に

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