非同期コミュニケーションの効率性と効果を高める7つのTIPS
アトラシアンでは分散型チームによる非同期コミュニケーションの実践を通じて、非同期コミュニケーションの効率性と効果を高めるためのノウハウやテクニックを蓄積してきた。以下、それらを7つのTIPSにまとめて紹介したい。
TIPS①緩やかに始める
仕事のやり方の小さな変化は、想像以上に大きな影響をチームに与える。ゆえに、同期コミュニケーションから非同期コミュニケーションへのシフトは緩やかに始めることが重要となる。
例えば、来週のカレンダーをご覧いただきたい。その中に非同期コミュニケーションに移行できそうなミーティングはないだろうか。もしいくつかあるのなら、その中の1つを選んで非同期コミュニケーションへと変更してみていただきたい。それだけで、ミーティングに費やすはずだった30分~60分の時間を節約することが可能になる。
TIPS②ベストプラクティスを共有する
チームにおける非同期コミュニケーションを機能させるうえでは、メンバー全員にベストプラクティスを共有してもらうことが大切である。そのようにして非同期コミュニケーションにメンバーを巻き込めば巻き込むほど、同期コミュニケーションから非同期コミュニケーションへのチェンジマネジメントが容易になる。
TIPS③ワーキングアグリーメントを作成する
「ワーキングアグリーメント」を作成することで、それまで「暗黙の了解」だったコミュニケーションやコラボレーションに関するチームとしてのルール、ないしは嗜好を明確にできる。これによって、どのような場面、タイミングで同期、ないしは非同期コミュニケーションをとるべきかのコンセンサスをチーム内で確立でき、コミュニケーション全体の効率性と効果を高めることが可能になる。
TIPS④事前準備をする
ここで言う「事前準備」とは、対面でのミーティングを催す際に非同期コミュニケーションのツールを使って事前の準備を行うことを指している。
オフィスでの対面会議に向けたアジェンダを設定するにしても、ブレーンストーミングを行う前のアイデア募集を行うにしても、非同期コミュニケーションを通じて同期コミュニケーションの準備を行うことは、同期コミュニケーションの成功確率を高めることにつながる。
TIPS⑤ツールをどのように使うかを定める
チャットツールなど、非同期コミュニケーションを支えるツールの助けを借りることは、コミュニケーションの効率性や効果を高めるうえで必須の取り組みと言える。このとき、ツールに支配されるのではなく、ツールが持つ潜在パワーを有効に活用することを念頭に置くことが大切である。
TIPS⑥ツールを意図的に使う
仕事に熱心なビジネスパーソンは、Slackやメールを通じて寄せられたメッセージに対して常に即答しようとしがちだ。ただし、そうしたツールの使い方は仕事への集中を散漫にするものであり、避けたほうが無難だ。したがって、特定の時間帯はメッセージを一切読まない、ないしは返信をしないといったルールを自分の中で定め、大切な仕事に集中して取り組める状態を意図的につくり上げることが重要となる。
TIPS⑦燃え尽き症候群を回避する
分散型チームでは、メンバー各人が仕事のスケジューリングを自らコントロールすることができる。ただし、そうした自由度の高さは、プライベートの時間と仕事の時間との境目を曖昧にし、「燃え尽き症候群」を発症させるリスクを高めるものでもある。そのリスクを低減させる一手は、メールやチャット(のメッセージ)に返信するタイミングについて、チーム内での合意を形成しておくことである。こうすることで「あらゆるメッセージに即答しなければ、サボっていると思われる」といった強迫観念から脱することが可能になる。
以上、非同期コミュニケーションを効率的、かつ効果的に行う方法について駆け足で見てきた。パンデミックが完全な終息へと向かうなか、企業の間では働き方を、オフィスワークを中心としたパンデミック前のスタイルに戻そうとする動きが見受けられている。
とはいえ、働く場所と時間に制約のない(あるいは、制約の少ない)柔軟な働き方を望む声は、ナレッジワーカー(特に若手のナレッジワーカー)の間で依然として大きい。そのため、優秀な人材を確保するうえではリモートワークやハイブリッドワークを継続させることが必要とされており、非同期コミュニケーションの効率性や効果を最大限に高めることが求められている。本コラムがそのための取り組みの一助となれば幸いである。