アトラシアン本社の情報サイト『WORK LIFE』から新着コラム。メインライターのサラ・ゴフ・デュポン(Sarah Goff-Dupont)が、「週4日」の働き方を巡る世界の動向をレポートする。

アイスランド ── 現在平均値:週休2日・週 38時間労働

■現状
アイスランドでは2015年から2019年にかけての4年間、66の職場と約2,500人の労働者(同国労働人口の約1.3%)を対象に、労働時間を週40時間から35〜36時間へと短縮する実験と行った。この国を挙げての実験結果は、世界のマスコミに大きく取り上げられ、「素晴らしい社会実験」と称賛された。

この実験に参加した労働者の多くは週休2日をそのままに月曜から金曜までの労働時間を短縮したようだが、なかには毎週の働く日数を4日間に絞り、週休3日制を取り入れた参加者もいた。また、ある参加者は労働時間短縮への対策として、日ごろの会議の時間を短くしたり、重要ではない仕事を省いたりしていたようだ。さらにある会社では、コーヒーブレークの回数を減らすことで、労働時間の短縮に対処していたという。

とはいえ、仕事によっては簡略化したり、省いたり、減らしたりできる作業がほとんどない場合がある。例えば、医療の現場の仕事がそうであり、ゆえにアイスランド政府は、今回の実験を展開するに当り、医療従事者を増員しなければならなかった。ちなみに、この実験では、都市の維持管理や学校、警察署などの公共機関で働く職員も対象とされていた。

■支持派の動き
アイスランドではほとんどの人が週4日制の支持層である。とはいえ、彼らは働き方についてそれほど劇的な変化を求めていないようでもある。実際、マスコミから大いに称賛されたアイルランドの社会実験は、それほどの変化を同国にもたらしていない。確かに労働者の労働時間は短縮されたものの、職種によっては1日13分程度の短縮にとどまっている。

ニュージーランド ── 現在平均値:週休2日・週38時間労働

■現状
ニュージーランド政府が2020年5月にコロナ禍対策として国境を閉鎖する際、国内旅行やレジャー消費を促進する目的で政府が週4日制の導入に動くとの情報が流れた。この情報は、ジャシンダ・アーダーン首相の何げない発言を起点に、報道機関やソーシャルメディアなどを通じて瞬く間に広まっていった。

それと連動するかのように、ユニリーバは81人のスタッフを擁するニュージーランド支社において、減給なしの週4日制を1年間にわたって試験導入した。同社はオランダに本社を置く企業であり、世界経済フォーラムのデータによると従業員の労働時間は週平均30時間でしかない。

■支持派の動き
ニュージーランドの中で週4日制に対して最も積極的なのは金融機関Perpetual Guardian社CEOのアンドリュー・バーンズ氏だ。200人以上の従業員を擁する同氏の会社では2018年に週休4日制を採用し、同国の企業の中でいち早く労働時間短縮に取り組む1社となった。バーンズ氏は、他の企業も労働時間短縮の取り組みに巻き込むべく、シャーロット・ロックハート氏と共同で「The 4-Day Week」というグローバル組織を立ち上げている。

スコットランド ── 現在平均値:週38時間労働

■現状
政権与党であるスコットランド国民党(SNP)は2021年9月、選挙公約を実行して週4日制を実験的に導入すると発表した。毎週の労働時間を短縮することで労働者の給与が減額にならぬよう、補償金として1,000万ポンド(1,380万USドル)を拠出することも約束している。ただし残念ながら、この社会実験に何人の労働者が参加するのか、いつ実験が行われるのかなどの詳細は不明である。

一方、スコットランドのいくつかの企業は独自に週4日制の導入に踏み切っている。例えば、グラスゴーにあるUPAC社とエディンバラにあるOrocco社は、従業員の給与を下げずに週4日勤務にすることを発表した。

■支持派の動き
世論調査によれば、スコットランド国民のおよそ80%が週4日制に賛成しているという。また、同国のシンクタンクであるInstitute for Public Policy Research(IPPR)によると、スコットランド国民は労働日数の短縮を圧倒的に支持しており、小売、テクノロジー、公共など、さまざまな領域で週4日制の実証実験を行い、それぞれにどのような影響があるかを確認することを求めているようだ。