ハイブリッドワークに適したオフィスデザイン
働き方の主流がハイブリッドワークへと移行するなか、オフィスワークに対する私たちの考え方は「なぜオフィスに行くのか」から「オフィスで何をすべきか」へとシフトしつつある。
「コロナ禍以前のオフィスは仕事に集中するための場として使われ、チームのコラボレーションや社交の場として特別なスペース(ポケット)が用意されていました」と語るのは、アトラシアンで職場環境の向上を担うワークプレイス・エクスペリエンス チームのシニアリアルエステートマネージャー、ローレン・ヌーン(Lauren Nuhn)だ。
ヌーンの言うとおり、コロナ禍以前の私たちは、主として仕事に集中するためにオフィスを使ってきた。ただし、ハイブリッドワークへの移行後は、オフィスを使う私たちの主目的が個人的な業務への集中ではなく、チームのコラボレーションへとシフトする可能性が大きくある。仮に、そうなった場合、オフィス空間のあり方もコロナ禍以前とは異なるものへと変化させる必要があるはずである。
ちなみに、ヌーンのチームではハイブリッドワーク用のオフィスとして以下の4つのスペースから成る空間を提唱し、アトラシアンの拠点に適用し始めている。
- フォーカス スペース:個々人のデスク、個室ブース、パーティションなど、個人のプライバシーを守りつつ、かつ、人の視覚的な妨げにならないよう配置したスペース
- アクティブ コラボレーション スペース:可動式の座席、パーティション、ホワイトボード、大型のデジタルスクリーン、付箋紙・画材などの備品を配置したスペース
- フォーマル ルーム:プライベートなミーティングやワークショップを行うためのスペース、あるいはチームのニーズに応じたアイテムを備えた専用スペース
- カジュアル エリア:ラウンジ、飲食のためのスペース
もちろん、これらのスペースを用意するだけでなく、従業員に対して自分のニーズに合ったスペースを使うように促すことも重要であると、ヌーンは付け加える。
結局のところ、新しいオフィススペースに移ったチームは、自分たちの仕事のやり方に合わせてオリジナルのアレンジを加えるのが常である。このとき、チームの各人が自分のデスク(居場所)を毎日移動したり、異なるチームのメンバーと毎日仕事をしたりするとは考えないほうが良い。それよりも、自分たちのニーズに合致したスペースを見つけることのほうが大切であり、現実的と言える。オフィス内のどのスペースがどのタイプの仕事に適しているかを把握するまでには期間を要するかもしれないが、それは単なる時間の問題である。
増え続けるハイブリッドワーク
アトラシアンが2020年に行なった調査を見ると、コロナ禍直前はリモートで働いていたオフィスワーカーは全体の4%に過ぎなかった。その数字が2021年には(コロナ禍の影響により)一挙に80%にまで跳ね上がっていた。のちに多くの人がオフィスに戻り始め、その約半数がハイブリッドワーカーになっていると、アトラシアンのシニア クオリテイティブ リサーチャーであるマリーン・カーン(Mahreen Khan)は指摘している。
チームメイトとの絆を育むことは、自分自身の心の健康のためにも、また、生産性のためにも重要である。ただし、メンバー間の交流を促進するための方法や「誰が空いていてで、誰が忙しいか」を見定めるための方法、あるいは、チームメイトと喜びを共有する方法についての“正解”を求めすぎるのは賢明ではない。大切なのは、各チームメンバーにとって最も効果的なアプローチを模索し続けることである。というのも、働き手の快適さを追求するうえでは、柔軟性とパーソナライゼーションが最も重要な要素だからである。