本講演は、アトラシアンのソリューションエンジニア、皆川 宜宏によるものだ。
「自動化」による組織を跨いだ高効率なコラボレーション
Jiraプラットフォームでは、業務のプロセスやワークフローを自動化することが可能であり、自動化のルールはノーコードで作成でき、かつ、ルールのテンプレートを提供するライブラリも提供されている。
こうした自動化の機能は、反復作業の自動化による作業負担の低減という効果のほかに、組織を跨いだコラボレーションの効率化という効果も生み出す。
例えば、サービスプロダクトの運用チームが、顧客からの機能改善リクエストをJira Service Managementに登録したとする。これにより、自動化の機能がその内容を判定し、適切なプロダクトマネージャーを担当として割り当てる。
ここで、プロダクトマネージャーがリクエストに関連した作業の優先度を上げ、機能改善の実装に取り組むという判断を下すと、その実装作業が開発チームの取り組むべき課題としてJira Softwareへ自動登録される。のちに、開発チームが機能の実装を終えて、リリースを行うと、それに関係するすべてのチケットが更新され「Slack」や「Microsoft Teams」などを通じて全関係者に通知される。それと並行して、販売担当チームが使うJira Work Management上では、当該プロダクトを顧客にプロモーションするためのタスクが作成されるのである(図3)。なお、「Jira Automation テンプレート ライブラリ」にて同様の自動化を体験可能となっている。
あらゆるチームの透明性を確保する
組織のアジリティを高めるためには、組織の構造を中央集権型から、自律分散型へとシフトさせることが必要とされる。すなわち、開発、販売、運用といった特定の役割を持った現場のチームが、相応の権限と責任を持って自らの判断で迅速に行動し、課題を解決していくことが求められるわけだ。
その要件を満たすうえで重要なポイントとなるのが、現場の各チームが自分たちの周囲でいま何が起きているかをリアルタイムに把握したうえで、適切な意思決定を速やかに下せるようにすることである。ゆえに、Jiraプラットフォームでは、社内のあらゆるチームの仕事について相互に透明性が確保されるように設計されている。
例えば、Jira Service Managementを使うカスタマーサポートチームは、Jira Softwareで管理されている開発作業にリンクしたサポートリクエストを確認し、当該リクエストの進捗状況を顧客に周知できる。
同様に、Jira Work Managementを使うマーケティングチームは、Jira Softwareで管理されているプロダクトの開発状況をつぶさにとらえ、それに基づく販促計画を策定して関係者に通知することができる。さらに、Jira Product Discoveryを活用するプロダクトマネージャーは、開発中のプロダクトについて、依存しているコンポーネントやマイクロサービスのステータスをJira Softwareを通じて常に追跡することが可能である。
以上のように、アトラシアンでは、先に触れた「すべてのチームにアジャイルなコラボレーションをもたらす」というビジョンの実現に向けて、Jiraプラットフォームの強化と改善を続けている。その取り組みが、日本企業によるアジャイルな組織への転換の一助になれば幸甚である。