アトラシアン本社の情報サイト『WORK LIFE』から新着コラム。アトラシアンのリサーチ&インサイト部門長であるレイサ・ライヒェルトが、アトラシアンの調査に基づきながら、リモートワーク(テレワーク)がチームに及ぼす深刻な影響と、その影響を最小限に抑え込むための方法についてまとめた。本記事では、前編に引き続き、調査結果から見えてきたリモートワークが分散チームに与える影響と対処法のヒントを紹介する。

調査結果5: リモートワーク体験を違ったものにする3つの要因

今回の調査では、上述した以外にも、リモートワークが個人やチームに及ぼしている影響についてさまざまな事柄が明らかにされている。私たちリサーチチームは、上述した内容も含めて調査結果を整理し、企業の経営者やミドルマネージャー、あるいはチームリーダーが、リモートワーカーをバックアップするのに役立つ情報としてまとめ上げた。その情報とは、人のリモートワーク体験を決定づける以下の3つの要因についてである。

  1. 世帯の複雑さ: 自宅での介護義務の大きさや世帯の人口密度によって、リモートワーク体験は大きく異なる。
  2. 役割の複雑さ: ワークフローの複雑さと成功のために必要とされる社会的相互作用のレベルによってリモートワークの難度と満足度が大きく異なる。
  3. ネットワークの質:プライベートや職場のコミュニティの活発度やレベルの高低によって、組織に対する個人の帰属意識と貢献意欲が上下する。

このフレームワークを使用することで、自分たちが直面している課題や、お互いをどのようにサポートすべきかが明確になり、リモートワークの個人とチームのパフォーマンスをともに高めていくことが可能になる。

そこでまずは、自分自身とチームメイトの状況をこれらのグリッドにプロットし、自分たちの現状を正しくとらえることが重要となる。アトラシアンでは現在、「すべてのチームの可能性を解き放つ」というミッションに基づき、このフレームと今回の調査結果を活用しながら、どの状態にある個人とチームを、どのように支援すれば、個人とチームのパフォーマンスを最高のレベルにまで高めていけるかについて研究を重ねている。

【TIPS】
上記3つの要素に関するチームメイトの状態を点検し、お互いをサポートする方法をブレインストーミングしたいと考えるなら、「Atlassian Team Playbook」の「Work Life Impact」をご活用いただきたい。ダウンロード可能なワークシートとステップバイステップの解説書と実践例が無償で入手(ダウンロード)できる。

すべての危機は自己成長の好機である

リモートワークに限らず、何かが世界的に流行すると、必ずさまざまな問題が浮上してくる。その問題はきわめて深刻なものがあれば、些細な問題もある。いずれにせよ大切なことは、それらの問題の解決に取り組むことは、人の創造力を刺激し、学び、成長するための機会でもあるということだ。

今回の調査は、世界各国の膨大な数の人々が、生まれて初めてフルタイムでのリモートワーク(在宅勤務)を体験した特定の一瞬を切り取ったスナップショットである。この調査をスタートさせた2020年4月当時、調査回答者の多くが、自分と自分のチームの働き方をリモートワークに適応させるために最小限の投資しかしていなかった。というのも、彼らの大多数が、すぐにオフィスに戻れると考えていたためだ。しかし、パンデミックの現実はその読みとは真逆の方向に進み、テレワークは長期化した。それに伴い、多くの個人とチームがテレワークの問題解決に向けて本格的に動き始めている。

おそらく、今から6カ月後に同じ調査を行ったとすれば、本稿で取り上げた問題のすべてが解決されているはずである(と私は楽観視している)。その問題解決の取り組みに少しでも貢献すべく、アトラシアンが学んだことをこれからも共有し続けるので、ご期待いただきたい。