アトラシアン本社の情報サイト『WORK LIFE』より。アトラシアンのトリ・コーリンズ(Tori Kaulins)が、すでにあるチームの「儀式」やツールを大きく変えずに、より速く・賢く・つながり続けられるチームへとシフトさせるための「5つのマイクロチャレンジ」を提案する。
本稿の要約を10秒で
- チームの儀式やツールを総入れ替えする前に、「小さく続けられる変化」を設計する。
- 5つのマイクロチャレンジを通じて、会話・フィードバック・振り返りの場をチームの毎日に埋め込む。
- 変化をイベント化せず、毎日でも負担なく続けられる小さな実践として仕組みに組み込んでいくことで、チームの働き方そのものを少しずつ更新できる。
チームのパフォーマンスを高めることは、必ずしも儀式やツールをすべて大きく変える必要はない。
プロジェクトをまたいだコラボレーションのしかた、ナレッジのつなぎ方、共通のゴールに人を集めるやり方を、少しだけでも「同じ型」で続ける――その小さな一貫性が、想像以上に大きな効果を生み出す。
もしあなたのチームが忙しく動いているのに、どこかバラバラな感覚があるなら、1週間かけてこの「5つのマイクロチャレンジ」に取り組んでみよう。
それぞれの日に異なるテーマを設定しているので、スピードを上げ、よりスマートに働き、つながりを保てるチームへと、少しずつシフトしていくはずだ。
チームを強くする5つの簡単なチャレンジ
Day 1:5分でできる非同期スタンドアップ
1つの定例ミーティングを、簡単な文章での近況共有に置き換える(もしくはLoomで録画する)だけでよい。共有先は、チームで普段使っているSlackチャンネルやプロジェクトボードにする。
各メンバーには、次の3点を書いてもらう。
- 昨日完了したこと
- 今日取り組むこと
- 困っていること・詰まっていること
それをざっと目を通して、リアクションして、次に進む。それだけで、わざわざミーティングを開く必要はない。
効果が出る理由:カレンダーの時間を奪うことなく状況を可視化でき、離れた場所で働くメンバー同士をつなぎ、チームがいつでも参照できる文章(または動画)の記録が残る。こうして、個々人のアップデートが、チーム全体で共有できるナレッジへと変わっていくのだ。
Day 2:チームの「いつものやり方」を1つ変えてみる
チームで繰り返し行っている「お決まりの儀式」を1つ選び、今より軽くて役に立つ形に作り変えてみる。
おすすめの問いかけ:
- ほとんど惰性でやっているような定例の場を、2~3個書き出す(例:週次スタンドアップ、ステータス報告、プロジェクトの進捗確認など)
- その中から、「時間が長すぎる」「あまり価値が感じられない」「目的がよく分からない」と感じるものを1つ選ぶ
- チーム全員で、次の問いに答える:
- この場は、本当は何のためにあるのか(状況の整理、意思決定、足並み合わせ、メンバー同士のつながりなど)?
- この儀式を「前よりずっと軽く」感じられるようにするには、何を変せばよいか(時間を短くする、人数を絞る、事前準備を減らすなど)?そのうえで、成果物や担当者がもっとはっきり分かるようにするには?
- 新しいやり方をいつから始めるか、どれくらい試してみるか、そしてメモや次のアクションをどこに残すかを決める。
効果が出る理由:おなじみの習慣を少し変えるだけで、大きな前進を生み出せる。チームがたった1つの習慣を作り変えるだけでも、余計な摩擦が減り、誰の役割かがはっきりし、「自分たちは働き方を変えられる」という自信が育っていくのだ。
Day 3:最近あった「チームを変えた瞬間」を共有する
チームが「一緒に働きやすくなった」小さな成功に、スポットライトを当ててみる。
おすすめの問いかけ:ここ1カ月・1週間、あるいは直近のスプリントの中で、あなた自身またはチームメイトが、コラボレーションをしやすくしたり、知識を共有したり、新しい働き方を試したりした瞬間を思い出してみてほしい。その変化によって、チームワークはどのようにスムーズに、あるいは楽しいものになっただろうか。
効果が出る理由:最近の成功体験を共有することで、「いま何がうまくいっているのか」がチームに見えるようになり、すぐに真似できる実践的なアイデアが広がり、継続的な改善に向けた勢いが生まれる。小さな変化を一緒に喜ぶことで、「もっと試してみよう」「もっと協力し合おう」という気持ちを互いに引き出せるのだ。
Day 4:相手にちゃんと届くフィードバック
1人の同僚に対して、「行動につながる・思いやりがある・具体的な」フィードバックを、このシンプルな枠組みで伝えてみる。
- 「あなたが〇〇(アクション)してくれると、△△(インパクト)という点でとても助かっています/よくない影響が出ています。よければ ⬜︎⬜︎(次のステップ)を試してみませんか?」
- 「私は、〇〇(アクション)という行動が△△(インパクト)という結果につながっているように感じています。選択肢の1つとして、⬜︎⬜︎(次のステップ)を一緒に考えてみるのはどうでしょうか?」
ちょっとしたコツ:センシティブな内容は相手との個別のやり取りで伝え、チーム全体で取り入れたい良い取り組みについては、みんなが見える場で共有するとよい。
効果が出る理由:はっきりとしたタイムリーなフィードバックが、正式なレビューを待たなくても前進する勢いを生み、仕事の質を引き上げてくれる。
Day 5:あなたの世界を見せ合おう
自分のプライベートな一面が分かる写真を1〜2枚(趣味、誇りに思っていること、ペット、週末のちょっとした冒険など)共有し、それについてチームに1つエピソードを話してみる。
例)ライター自身がチームに共有したもの
効果が出る理由:良いコラボレーションは、まず「お互いを知ること」から始まる――そのことを思い出させてくれるからだ。メンバー同士のつながりが深まることで、プロジェクトをまたいだチームワークや、日々のナレッジシェアも、ぐっとやりやすくなっていく。
ボーナスチャレンジ:振り返り、そしてコミットする
チームで週の締めくくりに15〜20分ほど時間を取り、次の問いに一緒に答えてみる。
- 今週、いちばん手応えがあったのは何だった?
- うれしい意味でも、そうでない意味でも、「想定外だったこと」は何か?
- これからも続けていきたい「小さな習慣」を1つ挙げるとしたら何か?(ちょっとしたコツ:その習慣を背中押しする担当を決めておく)
効果が出る理由:振り返りによって、ただの「活動」がチーム全体で共有できる学びへと変わり、人とナレッジのつながりが生まれる。さらに、その学びを支える習慣が少しずつ積み重なることで、前進し続けるための勢いが維持されていく。
チームで取り組むときのポイント
チームでこのチャレンジに取り組むための、シンプルなチェックリスト:
- 週を決める。 チームメンバーのほとんど、もしくは全員が揃っている週を選ぶ。
- “拠点”を作る。 毎日のマイクロチャレンジと振り返りを書き込むための、共有ページやチャネルを用意する。
- リズムを決める。 プロンプトにいつ取り組むかを決める(例:スタンドアップの冒頭、チームミーティングの中、もしくはその日の終わりまでの非同期対応など)。
- 1日10〜15分だけ使う。 忙しい日でも「これならできそう」と感じられるよう、あえて小さく区切っておく。
チームの働き方を変えれば、可能性は無限に広がる
変化は「小さく・見える形で・自分ごとになったとき」にこそ定着する。
このマイクロチャレンジを通じて、チーム一人ひとりが主体的に変化を生み出し、つながりを強めながら、一歩ずつ前に進んでいけるようになる。
小さな一歩を重ねていけば、やがてそれぞれの成功体験が、チーム全体の「働き方そのもの」を変えていくはずだ。