アトラシアン本社の情報サイト『WORK LIFE』より。ライターのトレーシー・ミドルトン(Tracy Middleton)が、チームワークの重要性について説く。

5. 「燃え尽き症候群」のリスクを下げる

米国の調査会社ギャラップが約7,500人のフルタイムワーカーを対象に行った調査によると、回答者の23%が仕事中に「燃え尽き症候群」になったと感じることが「よくある」、ないしは「常にある」と答え、44%が「ときどき、そう感じる」と答えたという(参考文書 (英語))。これは実に深刻な状況といえるが、打開のカギはチームワークにあるようだ。

「多くの場合、チームのメンバーは、自分たちの仕事に対する要求やストレスについてマネジメント層よりも深く理解しています。ゆえに、チームのメンバーたちは相互に有効な精神的サポートを提供し合い、燃え尽き症候群にかかるリスクを低減させることができるのです」と、ギャラップ社でワークプレイスマネジメントプラクティス担当の主任研究員を務めるベン・ウィガート(Ben Wigert)氏は指摘する。

もちろん、チームのマネジメント層もメンバーを燃え尽き症候群から守ることに無関心であってはならない。実際、ギャラップの調査でも、ワーカーが燃え尽き症候群にかかるリスクを引き下げるうえでは上司による精神的なサポートも有効であるとの結果が出ている。

6. 個人が輝くための機会をもたらす

職場におけるチームワークと、野球の試合におけるチームワークは基本的には異なるものだ。ただし、近年では共通する部分が多くなっている。

例えば、野球の場合、「投手」「捕手」「内野」「外野」など、それぞれの役割に秀でたメンバーを適材適所で配置し、かつ、各人が自分の能力を最大限に発揮することで試合に勝つ確率が高められる。

一方、企業におけるチームは旧来、野球チームほどメンバーの役割が細分化されていなかった。ただし昨今では、テクノロジーの発展やグローバル化の進展によってチームの直面する課題が複雑化し、1人の能力、スキルによって課題に対処することが困難になっている。ゆえに、チームのメンバー各人が、自分の得意とする(あるいは、興味・関心のある)領域の知識、スキルに磨きをかけ、それぞれの能力をいかんなく発揮することが必要とされている。また、メンバー各人がそれぞれの役割をこなして輝くことで、相互尊重と協力の文化が醸成され、チーム全体にベネフィットがもたらされるとマーフィー氏は指摘している。

これを言い換えれば、チームで働くことは、個人がそれぞれの特性に合わせたスキルを向上させて輝けるチャンスが広げられるということだ。

7. 働くモチベーションを高める

先に触れたとおり、上司に背中を押されることは従業員のモチベーションアップにつながる。ただし、ともに働くチームの同僚(メンバー)たちからの賞賛は、上司によるそれよりも効果が大きいようだ。

実際、20万人以上のワーカーを対象にした調査の報告書「TINYpulse Employee Engagement and Organizational Culture Report」によれば、同僚から尊敬されることが仕事において特別な努力をする理由の第1位であるという。

8. より賢いリスクテイクを可能にする

1人で仕事をしていると失敗をおそれて新しい何かに挑戦しようとする意欲がなかなかわいてこない。それに対し、チームで仕事をしていると、個人の失敗をチーム全体でカバーしてくれるという安心感がある。ゆえに、チームの各人は相応のリスクをとって挑戦的なアイデアを実行に移すことができる。

このように言うと、チームで働く人数が多ければ多いほど、失敗のリスクが分散されるがゆえにイノベーティブになれると思うかもしれない。ただし、実際にはそうではなく「ネイチャー(Nature)」誌に掲載された最近の研究によれば、最も破壊的なアイデアは小規模なチームから生まれることが多いという。

米国ペンシルベニア大学ウォートンビジネススクール(Wharton BusinessSchool)の研究者たちも、少人数こそが成功の秘訣であることを発見した。具体的には、レゴのフィギュアを作るのに2人のチームでは36分かかるのに対し、4人チームでは52分と、44%以上も長い時間を要したのだ。

理想的なチームの人数が何人かは明確になっていない。ただし、アマゾンのCEOであるジェフ・ベゾス氏は、チームの規模は最大でも「2枚のピザでまかなえる程度で良い」という。

9. 仕事上のミスを減らす

チームにおいて、お互いを励まし合い、刺激し合い、ともに楽しむ文化が醸成されていれば、メンバーはストレスを感じることが少なくなる。「逆にストレスは私たちを愚かにし、ミスを増やすという研究結果があります」とマーフィー氏は指摘する。

したがって、ストレスを減らせば、自ずとミスも減っていくことになる。少し古い調査(2017年調査)になるが、米国のワーカーの61%がストレスの原因として「仕事」を挙げていた(参考文書 (英語))。彼に、あなたもそうなのであれば、所属するチームの文化を改善することをお勧めしたい。

10. 人の創造性をかき立てる

良好なチームワークは創造性をかきたてる。また、異なる視点を持つ人々が集まり、心理的安全性が担保された状態の中で、ブレインストーミングを行うと、革新的なアイデアが生まれやすくなる。

ここで言う心理的安全性とはすなわち、ブレインストーミングに参加したメンバーの誰もが、何もおそれずに安心して自分の率直な意見やアイデアを言えるような心理状態を指している。要するに、心理的安全性とは、チームのメンバー全員がお互いを信頼し、ブレインストーミングなどにおいて"バカげた "質問をしたり、突拍子もないアイデアを提案したり、自分の意見を(論理的に)否定されたりしても決して周囲から蔑まされることはないとの確信が持てていることを意味しているわけだ。

チーム内にこうした信頼関係があって、はじめて課題に対する最も創造的な解決策が生まれると、ウィガート氏は指摘している。