アトラシアン本社の情報サイト『WORK LIFE』より。ライターのシャイナ・ローゼン(Shaina Rozen)が、組織・チームにおける人員の年齢・世代の多様性と生産性について説く。

本稿の要約を10秒で

  • 人の年齢はダイバーシティの要素として見過ごされがちだが、メンバーの世代に多様性のあるチームのほうが、そうではないチームよりも生産性が高いという調査結果がある
  • メンバーの世代にギャップがあっても、自分とは異なる世代の考え方や特性を相互に理解することで、良好な関係を築くことができる
  • 世代のダイバーシティの恩恵を最大限に享受するためには、各世代のユニークな視点や経験から学ぶことを奨励する文化を醸成する必要がある

公園の子供たちから得た気づき

私は5歳の息子を持つ母であり、ライターである。そんな私にとって、夕食どきから子供が寝るまでの時間は相当タフなひと時だ。ある日の夕方、時間の過ごし方を少し変えてみようと、息子を連れて近所の公園に散歩に出た(背景には、自身のストレスを発散したいという狙いもあった)。

息子はまったく人見知りや物怖じをしない。公園に着くなり、砂場で「街づくり」に没頭していた子供たちのところに駆け寄り、「僕もまぜて」と申し入れ、“街づくりチーム”の一員となった。その子供たちのチームは、幼児から小学校高学年(10代)までと年齢はバラバラ。ところが、かなりのチームワークを発揮し、互いの長所を巧みに生かしながら課題に取り組んでいた。

そのチームの中心はもちろん年長の子供たちだった。彼らはいわば街づくりにおける現場監督と技術責任者の役割を担い、少し年齢が下の子供たちによる“建設作業”の支援にあたっていた。また、より小さな子供たちは、年長者の指示に従いながらの建設資材(小枝、石ころ、レンガのかけら、など)の調達に主として携わっていた。ただし、幼い子供たちは、年長者の指示に素直に従ったりはしない。自分たちの発想で独自に新しい資材を探し当て、街づくりプロジェクトに持ち込んでいた。なかには、不採用の資材もあったが、幼い子供たちの斬新なアイデアに年上の子供たちが歓声を挙げることも多々あった。そんなチーム内では、議論もあり、意見の食い違いもあった。ただし、最終的には相当の生産性で街を作り上げ、皆が誇らしげに笑っていたのである。

そうした子供たちの仕事ぶりを眺め、年齢の垣根を超えたチームワークの良さに感心させられながら、私はこう考えていた。「おそらく、このチームは、同年齢の子供どもたちで構成されたチームよりも生産性が高く、かつ独創的でイノベーティブな仕事ができるに違いない。企業のチームも、本来こうあるべきではないのだろうか」と。

生まれ育った歴史が人を形づくる

ダイバーシティの確保によって、企業の従業員満足度や競争力・収益力が高められることは広く知られており、そのことを証明する数々の調査結果もある(参考文書 (英語))。

ただし、ダイバーシティについて語られるとき、主として人の「性別」「国籍」「文化的背景」といった要素にスポットが当てられ、「年齢」「世代」の多様性について言及されることは少なかった。つまり、「年齢」「世代」といった要素は、ダイバーシティの議論の中で見過ごされがちだったといえる。その一方で、異なる世代の人員で構成されているチームは、同世代の人員のみで構成されるチームよりも生産性が高いとの研究結果がすでに出ている(参考文書 (英語))。

また、かつてに比べて人の平均寿命、健康寿命が長くなり、かつ、時代の変化が激しい今日では、固有の特性を持った世代が幾重にも重なり合い、それらすべての世代が職場でともに働く可能性も出てきている。例えば、米国の場合、同国史上初めて5つもの世代が職場で並存している。その5つの世代とは以下のとおりだ。(各年代の切り分け方はソースによって微妙に異なる。)

  1. 伝統主義世代:1920年代~1940年代半ば生まれ
  2. ベビーブーム世代:1940年代半ば~1960年代半ば生まれ
  3. X世代:1960年代半ば~1980年生まれ
  4. Y(ミレニアル)世代:1981年~1990年代生まれ
  5. Z世代:2000年~2010年代生まれ

上記の世代の切り分けはあくまでも米国を中心に使われるものではあるが、他国でも同様の世代の多様性がある。しかも、デジタルテクノロジーの発展と世界規模での普及によって、世界各国の子供たちや若者たちが、同じ体験を共有する機会も増えてきた。ゆえに、例えば、ミレニアル世代やZ世代がそれぞれ持つモノの見方や価値観、さらにはデジタルテクノロジーに関するスキルなどは、世界で一定の共通性があるようだ。言い換えれば、米国以外の国、例えば、日本などでもミレニアル世代とZ世代のそれぞれにユニークな特性があり、価値観が異なるようなのである。

いずれにせよ、上記に示した5つの世代はそれぞれ、幼少期から社会人へと成長する自身の歴史の中で共通する出来事に遭遇しており、世代ごとにユニークな信念、価値観、仕事観、あるいは物事に対する見方などを有している。例えば、米国における伝統主義世代の多くは大恐慌を経験し、経済が好転した後も質素倹約の姿勢を貫いてきた。一方、米国におけるミレニアル世代の多くは「911同時多発テロ」や「リーマンショックによる大不況」を学生時代やキャリアの初期に経験し、世界観や仕事観に多大な影響を受けている。

言うまでもなく、人にはそれぞれ個性がある。したがって、世代カットのステレオタイプによって、人の特性を判断しようとするのは乱暴であり、それは偏見や「年齢差別」につながりかねない。年齢差別は、緊張感や敵対的な職場環境を助長するおそれが強く、MITの調査(参考文書 (英語))によると、その種の差別は従業者の生産性、エンゲージメント、定着の妨げになることが示されている。

とはいえ、人の信念や世界観、価値観、仕事観、あるいは物事の見方は、その人が育った年代・歴史によって形成されることが多い。したがって、ダイバーシティの他の要素と同じように、世代ごとの違いについても、それを理解して受け入れることが重要であり、それによって組織・チームのリーダーは、自身の組織・チームの生産性や創造性を高めることが可能になるのである。