アトラシアンでは2022年6月、日本のナレッジワーカーを中心にした就労者へのアンケート調査を実施した。テーマは「働く環境」と「働く満足度」との相関関係を調べることだ。その調査結果を「前編」「後編」の2回に分けて報告しているが、本稿はその「後編」として、組織・チーム内における人間関係やコミュニケーション、情報共有のあり方が、働く満足度にどう影響しているかについてレポートする。

働く満足度を高める要件

今日、多くの企業が従業員満足度、あるいは従業員体験の向上、良質化に取り組み始めている。優秀な人材を確保するうえでも、社員各人のパフォーマンを最大限に引き出すうえでも、働く満足度を高めることが重要であるからだ。

そうした社員の満足度を維持・向上させるうえで重要な要素とされているのが、本稿の前編で取り上げた「働き方」の自由度や柔軟性だ。

またそれだけではなく、組織・チーム内の「良好な人間関係(対人関係/信頼関係)」や「オープン(開放的)で正直な意見交換・情報共有」「明確な目標、ミッション、ビジョンの共有化」なども、社員の満足度、あるいは働く意欲を高める要件とされている。

本稿では、調査回答者(回答者属性については原稿末を参照)の働く組織・チームがそれらの要件を満たせているかどうかを明らかにしながら、その状況が各人の働く満足度にどう影響しているかについて探っていきたい。

なお、本稿の前編でも掲出したが、調査回答者(回答者属性は原稿末を参照)の組織・チームへの満足度のレベルは図1に示すとおりだ。この点を踏まえつつ、本稿を読み進めていただきたい。

図1:働く組織・チームへの満足度(5段階評価/n=635)

資料:アトラシアン株式会社 2022年6月調査(「働く環境の実態&意識調査」)

働く環境の実態

それでは早速、調査回答者の働く環境の実態について見ていきたい。ここでは、組織・チームにおける「①人間関係(対人関係・信頼関係)の良好さ」「②オープンで正直な意見交換・情報共有」「③目標、ビジョン、ミッションの明確化・共有化」の3点にフォーカスしながら働き環境の実態を点検していく。

働く環境の実態① 人間関係の良好さ

まずは、調査回答者が属する(ないしは管理する)組織・チームの人間関係がどうなのかについて確認する。図2は、その点を調べた結果だ。

図2:組織・チームにおける「人間関係(対人関係、信頼関係)の良好さ」(n=630)

資料:アトラシアン日本法人 2022年6月調査(「働く環境の実態&意識調査」)

図2を見てのとおり、人間関係について一定以上の良好さを持った組織・チームで働いている回答者は全体の半数弱(46.5%)となった。一方で、人間関係が良好ではない、あるいは非常に悪いとした回答者は1割程度(12.7%)とかなり少ない。この結果を表面的にとらえると、日本企業の組織・チームにおける人間関係は「まずまず」の状況にあるように思える。

ただし、上に示す結果で「対人関係は普通だと思う」とした回答者からも、組織・チームの人間関係に関する不満の声や問題点を指摘する声が寄せられている。

部門や個人間において距離があり、信頼関係が弱い。それが仕事への意欲や、やりがいを引き出せていない気がする(60代 男性・経営者)

また、「対人関係は普通だと思う」とした回答者は、自分の組織・チームの人間関係が良いとは感じていない一群とも見なせる。そう考えれば、日本企業における組織・チームの過半数が、良好な人間関係を構築できずにいることになる。言い換えれば、過半数の組織・チームが、良好な人間関係によって就労者の満足度を高めるのが難しい状況にあるということだ。

世代で温度差があり、40代ぐらいまでは仕事とプライベートを分けていて職務上の話しかしないが、その上の世代の人たちは、趣味の話などもするので、よりお互いを知ることができ信頼できる感じがする(30代 男性)

実際、今回の調査では、組織・チームにおける人間関係の良好さと、そこで働く人の組織・チームに対する満足度との間に強い相関関係が見られている。つまり、人間関係の良好さの度合いが上がるに従って、組織・チームに対して満足感を抱く人の割合が増えていき、かつ、その割合は人間関係が「良好」と感じられるか「普通」と感じられるかの間でも大きな開きが出たのである(図3)。

図3:組織・チームにおける「人間関係(対人関係/信頼関係)の良好さ」と「組織・チームに対する満足度」との相関関係(n=630)

働く環境の実態② オープン(開放的)で正直な意見交換・情報共有

就労者の組織・チームに対する満足度は、組織内・チーム内で心理的安全性が確保され、「自分の意見や仕事の状況を正直に、あるいはオープンに共有できるかどうか」によっても上下する。そうした意見交換・情報共有の開放性・正直さの状況について尋ねた結果が、図4である。

図4:意見交換・情報共有の状況(n=630)

資料:アトラシアン日本法人 2022年6月調査(「働く環境の実態&意識調査」)

ご覧のとおり、回答者の過半数(52.1%)が、自分の組織・チームではオープンに、かつ正直に意見や仕事の状況について共有できていると感じているようだ。

この結果に対する意見もさまざまであろう。日本企業における組織・チームの半数以上がオープンで正直な意見交換・情報共有ができているというのは、全体的にはまずまずの状況といえるだろうし、一方で、それができてない組織・チームが半数近くもあるのもまた問題といえる。

業務に関してチーム内で定期的に話し合う機会がなくPDCAが履行できていない。個人の意見・要望を出すためのシステムが明確ではなく手詰まりとなっている(40代 男性)

いずれにせよ、オープンで正直な意見交換・情報共有ができていないのは、組織内・チーム内での信頼関係や心理的安全性がしっかりと確立、確保されていないことの現れともいえ、そうした組織・チームでは働き手の満足度を維持・向上させることは難しいはずである。

実際、上述した「人間関係」と同様に、この要素(=意見交換・情報共有の開放性・正直さ)の高低についても、組織・チームに対する就労者の満足度との正の相関関係が見られている(図5)。

図5:組織・チームにおける「意見交換・情報共有の開放性・正直さ」と就労者の「満足度」との相関関係(n=630)

資料:アトラシアン日本法人 2022年6月調査(「働く環境の実態&意識調査」)