アトラシアン本社の情報サイト『WORK LIFE』から新着コラム。アトラシアン「Confluence」のマーケティングマネージャー、ブリタニー・サドロウ(Brittany Sudlow)とWORK LIFEの編集者であるトリッシュ・サマー(Trish Sammer)がチームの成長を促すマインドセットの開発方法について紹介する。

あなたのチームのマインドセットは?

では、あなたのチームのマインドセットはどういった状態にあるのだろうか──。

それを調べるうえで有効なのは、チームに対する「追跡(Tracking)」と「信頼(Trust)」、そして「トップダウン(Top-down)」と「透明性(Transparency)」という4つの「T」をチェックすることである。具体的には次に示すとおりである。

追跡 vs. 信頼

あなたが所属する、ないしは率いているチームでは、生産性と付加価値がどのように計測・評価されているだろうか。仮に、その評価がメンバーの単純なアウトプットや作業時間などの「追跡」によって行われているならば、それは、チームのメンバーが固定的な仕事に集中しているかどうかを見ているにすぎず、成長型マインドセットは育まれない。

そこで必要とされるのが「信頼」である。ここでいう信頼とは、マネジメントがチームを信じることを指す。その信頼は、同じゴールを共有し、達成に力を注ぐチームのメンバーならば、全員が必ず自分の成すべきことを行うという信念に基づいている。

こうした上層部の信頼をチームの全員が受け取り、単純なアウトプットの分量ではなく「成果」にフォーカスを絞って仕事を行っているならば、それは成長型マインドセットが育まれていることの証明と言える。

トップダウン vs. 透明性

ここでいう「トップダウン」とは、チームの意思決定と作業の優先順位づけに必要な情報と責任の範囲が、指導的立場にある人によって伝えられ、決定されることを意味する。それに対して「透明性」とは、意思決定と優先順位づけに必要な情報のすべてがオープンにされ、メンバーが能動的に入手でき、それぞれの意思決定に活用できることを意味している。

そして、固定型マインドセットを持つチームは、トップダウンですべてが決められることを好む傾向が強い。他方、成長型マインドセットを持つチームのメンバーは透明性を好み、チームの仕事に貢献することが自分にとって価値の高いことであると信じている。

チームの成長型マインドセットを育む4つのヒント

上記の点検を通じて、あなたのチームのマインドセットが固定型であると判断したならば、成長型への転換を推し進める必要がある。その転換を図る際には以下の4つのヒントを参考にされたい。

ヒント1: 転換は緩やかに

一部の予測可能な職務とワークフローを有するようなチームの場合、固定型マインドセットの範囲内で仕事をこなしたほうが良好なパフォーマンスを発揮し続けることが多い。このようなチームに対して成長型マインドセットへの転換をいきなり求めるのは良策ではないが、それでも成長型マインドセットを育むことが不要なわけではない。したがって、成長型マインドセットを緩やかに育むことが大切となる。

そのための最初の一歩として有効なのは情報のオープン化と共有である。職務やワークフローが固定的であっても、チームのメンバー各人の仕事の進め方を全社員にオープンにして共有してもらうようする。これにより、チームの成長の意欲と向上心を養うことができる。

ヒント2: 労働時間ではなく成果を評価す

成長型マインドセットを持つ人は、働いた時間ではなく成果に基づいて評価されることを好む。したがって、チームの成長型マインドセットを育むうえでは、評価の成果主義への転換を図る必要がある。

成果主義に基づくチームマネジメントの在り方について、ドイツ銀行の人事部門でグローバルの責任者を務めるマイケル・イルグナー(Michael Ilgner)博士は、世界経済フォーラムのインタビューで次のように語っている。

「旧来の働き方は、出社して決められた時間で働き、退社することの繰り返しだったと言えるでしょう。それが今日では、チームのメンバーに仕事上の責任を引き渡して期限を定めるだけでマネジメントは完了です。メンバー各自がそれぞれの仕事をこなすために時間をどう使うかは、それぞれの裁量に委ねられているからです」

ヒント3: デフォルトで透明性を確保

チームがより良い仕事をするためには、仕事にかかわるあらゆる情報の透明性が確保されていることが必須条件となる。逆に、情報が閉鎖的であると従業員のモチベーションは低下してしまう。

ちなみに、アトラシアンではコラボレーションのためのツールとして自社の製品であり、Wiki型の社内情報共有ツールである「Confluence」を使っている。Confluenceはデフォルトの設定がオープンであり、Confluenceスペース内のすべてのドキュメントは(アクセス制限をかけない限り)他のチームメンバーや同僚が自由に閲覧できる設計になっている。こうした情報の透明性によって各チームはより迅速な意思決定を下すことが可能となり、作業の効率性もアップする。もちろん、権限設定によって情報の公開/非公開を制御することもできる。

ヒント4: イノベーションの機会をデザインする

チームの成長型マインドセットは絶え間のない改善を求めるマインドでもある。このマインドセットは、市場の目まぐるしい変化に適応し、自社の持続可能性を高めなければならない企業にとってビジネス上の価値が非常に高いものと言える。また、成長型マインドセットを有するチームは、失敗をおそれずに新しい何かに挑み、仮に失敗しても、そこからさまざまなことを学ぼうとする。これはイノベーションを引き起こすうえで非常に重要なマインドセットだ。

加えて、アトラシアンの場合、従業員が創造性を発揮するための機会として、四半期ごとにハッカソンを開催している。このように創造性を発揮するための機会を適切にデザインすることで、チーム・組織・企業のイノベーション力が向上していくことになる。