アトラシアンは「あらゆるチームの可能性を解き放つ(Unleash the potential in every team)」のミッションのもと、チームワークを促進する製品やサービスを提供していますが、社内でもさまざまな場面で自社製品が使われています。技術関連部門だけでなく、マーケティングや法務、人事、総務といったビジネス部門でも、Confluenceをはじめとするアトラシアン製品は業務を進める上でなくてはならないツールになっています。この連載では特に、非技術部門でのアトラシアン製品の活用方法を取り上げます。
アトラシアン株式会社は今年の6月に「Atlassian Team Tour: Future of IT」というイベントを開催しました(開催レポートはこちら)。これは、世界の主要都市を巡りながら開催されたワールドワイドイベントで、東京では渋谷のヒカリエで行われました。このイベントの準備は、サンフランシスコに拠点を置くイベントチームそしてEメールチームと連携して進めたのですが、この記事ではそのコラボレーションを支えたツールをご紹介します。

核はConfluence

とにかくあらゆる情報をConfluenceで記録・共有しました。Confluenceとは企業向けWikiプラットフォームで、これを使用することで情報共有や関連するコミュニケーションを一か所に集約することができます。今回は、開催日時や会場、担当者、当日のプログラムといった基本情報はもちろん、イベントチームとの定例ミーティングの議事録や、日本のイベント会社との打ち合わせ内容、集客活動の予定、当日使用する来場者アンケートなど、何から何まで記録しました。最初は共有すべき(だと私が感じた)情報を1ページにまとめていたものの、会期が近づき忙しくなるにつれ「これは共有すべきか」などと考える余裕も、自分の記憶力のキャパもなくなったため、なんでも記録して、必要に応じてカテゴリーごとにページを分けていきました。

記録に記録を重ねて出来上がったページは10以上

Confluenceでは文字だけではなく、画像やファイルも添付できるので、会場下見の時に撮った写真やレイアウト図を共有することで、事前に現地に行かないメンバーにも会場の様子を説明できました。(ちなみにこの記事を書きながら、動画を撮って共有した方がよりわかりやすかったのでは…と気づきました。)

イベント会場のレイアウト図と写真を共有したページ

また、関係者とのミーティングで出てきたTo-Doもとにかく議事録に残しました。チェックボックスを配置して自分を@メンションしておけば、追ってメールでもタスクの通知が来るので、忘れません。さらに自分専用の領域である「パーソナルスペース」でアサインされたタスク一覧を確認することができるので、日々確認すれば漏れがなくなります。また、他の人にTo-Doをアサインすると、その人がタスクを終えてチェックボックスにチェックを入れるとメールで通知が来るので、対応してくれているかどうかを確認するためにページに行かなくても済むのが良かったです。

To-Doと担当者を明確に

イベントチームとのミーティングでの確認忘れや、ミーティング後に出てきた確認事項には、ページ下コメントやインラインコメントを活用しました。さらに急ぎの用事や念の為フォローアップしたい時は、Slack。このお陰で時差があったり地理的に離れていたりしてもスムーズなコミュニケーションが取れました。

集客メールはJira Service Deskで担当部署に依頼

アトラシアンから配信されているメールは、(ほぼ)すべて、これまたサンフランシスコオフィスに拠点を置くEメールチームが管理・運用しています。「今、企画しているイベントをJira Softwareの評価版を使ってくれたお客様にご案内したい」と思ったら、このEメールチームに依頼します。このリクエストの窓口にJira Service Deskが使われています。

Eメールをリクエストをするサービスデスクのトップページ

まず、配信日時や配信先対象者、Eメールの目的などを入力してチケットを起票します。配信日が近づくと、Eメールチームの担当者からメールのコンテンツを準備するよう、チケット上のコメント経由で連絡が来ます。メールコンテンツはConfluenceのページ上に作成してリンクをお知らせすると、追って、担当者がメール配信システムで準備したテストメールが組み込まれたページ(これもConfluence)が送られて来ます。内容を確認し、必要に応じて修正点をコメントでやり取りした上で、最終版になったらページ上部に用意されたチェックボックスにチェックを入れるとコンテンツが確定。あとはEメールチームが予定日時に配信してくれ、送信完了後、結果レポートへのリンクがチケットに追加されます。

メールコンテンツはConfluenceでページを作成して指示

ちなみに、イベントの準備期間中に数回、案内メールを配信しましたが、すべてConfluenceのページに該当チケットへのリンクをまとめて記録しておくことで、後々自分がEメールチケットを探し回らなくても良い上に、他のアトラシアン社員はいつ、どんなメールが誰に送られるのかを、そのページから辿ることができます。

開催後もConfluence

Confluenceが役立つのは、準備期間だけではありませんでした。開催後の振り返りもConfluenceを使いました。

「良かった点」「改善点」「次回への提案」を項目にした表をページに準備して、振り返りミーティング前に関係者に共有し、書き込んでもらいました。ミーティングでは、書き出してもらった項目を見ながら、それぞれのポイントに対する補足説明や追加事項を話しました。こうすることで、とても効率よくミーティングが進んだと思います。また、この内容はそのままイベントチームも見るので、彼らも各都市で開催したイベントの振り返りを簡単にまとめられます。

さらに、来場者の方に回答いただいたアンケート結果をまとめたファイルもConfluenceにアップして関係者と共有しました。こうすることで、このイベントに関する全情報がConfluence上にまとまっているので、もし来年同じようなイベントを行うことにって「去年はどんなメール送ったんだっけ?」とか「次は受付どうした方が良いって言ってたっけ?」と思ったら、この数ページを見れば必要なものが見つかるはずです。

おわりに

ここまで、いかにConfluenceで情報の記録・共有ができるかを紹介しましたが、このイベントを担当するまでは、あまりConfluenceへの記録グセはありませんでした。10か月ほど前の自分をはっきりと思い出せませんが、「どうでも良いことを書いて誰かに見られたら恥ずかしい」とか「間違ったこと書いていたら嫌なのでローカルのファイルに保存しよう」などと思っていた気がします。

このイベントのプロジェクトが始まった当初は、昨年似たイベントを担当した上司が産休中だったため、Confluence上に残っていた記録を見ながら準備を進めていました。この過去の記録があることがとても助かったのと、いよいよ準備が佳境に差し掛かり、なりふり構わず記録せざるを得ない状況を経たことで、Confluenceで(社内に)公にすることに対する迷いがなくなりました。

アトラシアンでは「オープンな働き方」が推奨されています。プロジェクトのさまざまな情報を記録しオープンにすることで、チームメンバーはもちろん自分自身のパフォーマンス向上に大きく寄与します。まだ実践したことのない方は、ぜひ一度お試しください。