アトラシアンには、働き方改革のエキスパートが多くいる。その一人が、ワーク フューチャリストのドム・プライス(Dom Price)だ。彼は企業組織のリーダーに向けて、変革のためのメッセージをコラム形式で発信し続けている。この連載では、そのエッセンスをお伝えしていく。

“ノー”が言えないと会議は増える

私は、仕事で人に“No(ノー)”と言うのがすこぶる苦手だ。また、プロジェクトにかける人の情熱に感化されやすく、常に人の役に立ちたいとも願っている。結果、私の予定表(カレンダー)は無数の会議予定で埋め尽くされている。

そんな中で、最悪なのは“ゾンビ”のような会議である。人の生産性を犠牲にする以外、何の役にも立たないにもかかわらず、誰もその息の根を止めることができず、ただ生き長らえているような定例会議──。そんな会議には出たくないものである。

少し前に、私は、好きな仕事、嫌いな仕事、憧れる仕事、勉強になる仕事を仕分けしてみた。予想どおり、嫌いな仕事のすべては会議に関するものだった。

フォーラム、委員会、カウンシル、 グループ会議、部署会議などなど。それらが、私の身と貴重な時間を削りとっていく──。すべてが、中途半端な義務感から、参加依頼を断り切れなかった自分のせいとは言え、決して心地のよいものではなかった。

すべての定例会議を予定から消去したとき

あるとき、私は自分のカレンダーからすべての定例会議の予定を消去する決断を下した。そのとき、消去したすべての定例会議の主催者に対して、会議のタイプごとに、それぞれ次のようなメッセージを送った。

タイプ① 断りを入れても必ず参加が求められるであろう会議の場合
■メッセージ:会議の目的と自分の役割を明確にしてほしい。他の誰かではなく、私でなければならない理由は何なのか。その点を明らかにしていただきたい。

タイプ② 参加に断りを入れれば参加しなくても済む可能のある会議の場合
■メッセージ:私以外の人間でも、会議に対して同じ価値が提供できると思う。その誰かにすべてを委任したい。

タイプ③ もはや続けることに何の意味も持たない会議の場合
■メッセージ:この会議は、私たちが会議をやめるのが苦手であるという理由だけで存続している。継続に意味はなく即刻取り止めるべきである。

上記のうち「タイプ③」の会議については、2度と参加を求められることはなかった。代りに、会議のメンバーたちから、次のようなメッセージを数多くいただいた。

「勇気ある指摘をありがとう!おかげで、あの無意味な会議がなくなったよ!」

一方で、いくつかの定例会議については、参加の継続を求められたが、いずれも自分の役割を明確にしてくれた。そのため、会議での自分の存在意義について思い悩む必要がなくなり、精神的負担が大きく低減された。また、会議が私に求めていた役割が、自分の考えていたこととは異なることにも気づかされ、新鮮な気持ちで会議に臨めるようになった。これにより、会議に対する私の貢献度を大きく高めることができたのである。

その会議は本当に必要なのか

私たちは通常、問題解決のために他の誰かの力が必要であったり、助けを求めたりする場合に会議を催す。このとき、私たちが疎かにしがちなのは、問題解決の手段として、本当に会議が最善の選択肢かどうかを見極めることだ。同様に、会議に召集された側も、自分が会議に参加することの意義をあまり考えようとはしない。それが多くの会議を形骸化させ、儀式化させ、“ゾンビ化”させてきたのである。

もちろん、会議の中には必要なものもある。ただし、少なくとも、単なる情報共有を目的にしたような会議は催すべきではない。世の中には、メールやチャット、社内ポータルなど、情報共有のためのツールが数多く存在するからである。理想を言えば、すべての会議は意思決定と協創のために催すべきだ。

また最低でも、会議の中心は“報告”ではなく、“ディスカッション”に置くべきである。さらに、ブレインストーミングや、部下と上司との1対1のミーティングなど、メールなどを通じた非同期型のメッセージ交換ではディスカッションが成立しないような場合に限り、会議を催すよう心がけることが大切だ。

そして、会議を招集する、あるいは会議への参加を求められた際には、必ず次の2つの問いかけを自分自身に対して、あるいは会議の主催者に対して投じるべきである。

  1. 会議の目的は何なのか?
  2. 会議での自分の役割は何なのか?

自分の時間をより有効に使いたいのであれば、自分のカレンダーを埋める定例会議に対して、常に問題意識を持っていていただきたい。その会議が本当に必要かどうか、会議に自分が参加する意義はどこにあるのかを見つめ直すだけで、よりスマートに時間を使う道筋が見えてくるはずである。ちなみに、“ゾンビ会議”に戦いを挑み、無くすことができれば即座に無駄な時間が削減できる。チャレンジしてみてはいかがだろうか。