金融や物流など他の業界もDXで変革

エンジニアを多く抱えることで、不動産業界のために作ったAI技術を、他の業界に応用できることもSREホールディングスの強みだ。その一つが金融業界。金融機関には不動産に関わる業務が一定の割合で存在することから、AI査定で培った技術を生かしたソリューションを提供している。

「不動産を担保にした融資や、住宅ローンの審査などに、不動産価格を査定するAIをカスタマイズして提供しています。金融業界もこれまで人の力だけで査定をしていましたので、当社のツールで効率化を実現できます。さらに金融機関の他の業務にもAIを導入するニーズが高まっています」

もう一つは物流業界。提供しているのは画像を分析するAIエンジンだ。物流の倉庫に同AIを導入することで、充填状況を分析できるようになった。清水氏は、画像分析は不動産業界のDXとは違うアプローチから生まれたと明かす。

「画像分析のAIも、ソニーグループの研究所が開発したものです。この技術をどの業界に応用できるのかを市場調査したところ、物流業界で倉庫内の荷物の充填率を正確に把握したいというニーズがあることが分かりました。画像分析によって業務効率は格段に上がる見込みであり、既に大手の企業にもご利用いただいています。

当社はソニーグループ発の会社ですので、研究所が開発したAIを包括ライセンスによって使用できます。ゼロからAIを開発すると、どうしても時間がかかります。その時間をかけずにグループのアセットを使えることは、当社の競争優位性です」

画像: 倉庫充填率可視化ソリューションのイメージ

倉庫充填率可視化ソリューションのイメージ

金融業界と物流業界以外にも、需要に応じて料金を変動させるダイナミック・プライシングのAIを旅行業界向けに提供する。部屋食や家族風呂の貸し切りなど、多様で複雑なオプションが存在する旅館に特化して、AIで最適な料金を瞬時に提示できるシステムを作っている。

さらに現在検討を進めているのは、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを企業が進めるためのツールだ。20年10月に政府が「50年までにカーボンニュートラルを目指す」と宣言したことで、大企業が中心となって取り組みを進めている。この取り組みをAI技術でサポートしようと考えているのだ。

「カーボンニュートラルを進めるためには、企業内の活動でどれだけ二酸化炭素などが排出されているのかを可視化するデジタライゼーションが最初のステップです。ただ、そのためのツールは日本ではまだ少なく、大企業の皆さんからは、大手のSlerに発注するとかなりのお金と時間がかかるという悩みを聞いています。

このツールをより簡便な形で提供できれば、企業が早く導入ができることに加えて、システムへの投資がしづらい中小企業でも安価に導入が可能です。日本のカーボンニュートラルの取り組みをDXで進めることができると考えて開発を進めています」

業界でDXのトップシェアをとっていく

AIの技術を使ったクラウドサービスは、不動産業界向けから提供が始まって、さまざまな業界に展開されている。国内ではDXが進んでいない業界がまだまだ多くあり、大きな可能性がある。清水氏は今後の展望について「各業界でDXのシェアをとっていく」と語った。

「不動産業界のDXに力を入れてきましたが、不動産の仲介会社が全国に数万社あることを考えると、ポテンシャルはまだまだ大きいです。不動産業界でのシェアトップを取ることは早期に実現したいと考えています。

大きな市場があり、DXで改善する余地がある業界は不動産以外にもまだまだあります。そういう業界にAIをカスタマイズして提供し、業界の共通課題に対してソリューションができると確信が持てた段階で、業界向けのクラウドサービスをビジネス化していくことがミッションです。不動産に代わる第2の主力分野を早く確立していきたいですね」

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